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日銀のETF買いタイミングをめぐる思惑
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

日銀のETF買いタイミングをめぐる思惑

2016/8/23
22日の日経平均は、前日比52円高の16,598円でした。1ドル100円台でやや円安が進み、日経平均は上昇したものの、日中は薄商いで小動きに終始しました。
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執筆:窪田真之

22日の日経平均は、前日比52円高の16,598円でした。1ドル100円台でやや円安が進み、日経平均は上昇したものの、日中は薄商いで小動きに終始しました。材料待ちで大きくは動きにくくなっています。日米金融政策が9月にどう動くか、あるいは、動かないか、それでドル円がどう動くか見極めるまで、日本株も方向感が出にくくなっています。

日本株をさらに動きにくくしているのが、日銀の年6兆円ETF買い付け宣言です。日経平均が大きく下がると、日銀の買いが出ると考えられるので、売りを仕掛けにくくなっています。一方、日銀は、日経平均を押し上げるようなETF買いはこれまでやっていないので、現時点では、上値追いの主体としては期待しにくくなっています。

(1)日本株ETFの買い主体として日銀の存在がどんどん大きくなっている

日本銀行は、これまで累計で約9兆円の日本株ETFを買い付けました。2015年から買い付けペースが上がっています。2016年7月の金融政策決定会合で年3.3兆円のETF買い取りを、年6兆円に増額することを決めましたので、2016年8月以降は、さらに買い付けペースが速くなる見込みです。

日本銀行による日本株ETFの累積買い付け額推移:2011年1月―2016年7月

(出所:ブルームバーグ)

ここから年6兆円のペースでETFの買い取りを続けると、保有残高は1年後に15兆円、2年後に21兆円、3年後に27兆円に達します。巨大な日本株の買い手となります。それだけに、「どのような買い方をするのか」に注目が集まっています。

(2)日経平均が「下がると買いを増やし、上がると減らす」パターンは維持されるか?

日本銀行のETFの買い方に、明確なルールはありません。これまでの買い方を見ると、日経平均が下がった時に買いを増やし、上がると減らす傾向が鮮明でした。

日銀のETF月次買い取り額と、日経平均の月次騰落率:2015年1月―2016年8月(22日まで)

年 月 買付額 日経平均騰落率
2015年1月 3,443 1.3%
2015年2月 1,322 6.4%
2015年3月 2,464 2.2%
2015年4月 2,907 1.6%
2015年5月 2,170 5.3%
2015年6月 4,431 -1.6%
2015年7月 2,592 1.7%
2015年8月 3,020 -8.2%
2015年9月 2,556 -8.0%
2015年10月 336 9.7%
2015年11月 2,870 3.5%
2015年12月 2,583 -3.6%
2016年1月 3,185 -8.0%
2016年2月 2,640 -8.5%
2016年3月 672 4.6%
2016年4月 3,228 -0.6%
2016年5月 2,301 3.4%
2016年6月 4,462 -9.6%
2016年7月 2,928 6.4%
2016年8月 2,288 0.2%

(出所:日本銀行のデータより、楽天証券経済研究所が作成)

ただし、年間6兆円買い付けるとなると、下がった時だけに買っているのでは、足りなくなると考えられます。これまでのように「下がったら買う」だけでなく、「日経平均を押し上げるような買い方もするようになる」という見方も出ています。

(3)8月に入ってからのETFの買い付けペースは、年6兆円ペースに足りない

年6兆円のETF買いを宣言した日銀が、8月に入りどのような買い方をするか、注目されています。今のところ、下がったら買いを増やし、上がると減らすパターンが概ね維持されています。

日銀による日々のETF買い取り額:2016年8月1日―22日

約定日 "ETF買取額 (億円)" "日経平均騰落 (円)"
8月1日 12 +66
8月2日 359 ▲ 244
8月3日 359 ▲ 308
8月4日 719 +171
8月5日 12 ▲ 0
8月8日 12 +396
8月9日 12 +114
8月10日 719 ▲ 29
8月12日 12 +184
8月15日 12 ▲ 50
8月16日 12 ▲ 273
8月17日 12 +149
8月18日 12 ▲ 259
8月19日 12 +59
8月22日 12 +52
合 計 2,288 +28

(出所:日本銀行のデータより、楽天証券経済研究所が作成)

8月第1週(1-5日)は、円高急伸を受けて、日経平均が急落しました。この週、日銀は1,461億円のETFを買っています。「下がったら買い付けを増やす」これまでのパターンが維持されています。

8月第2週(8-12日)は、日経平均が急反発しました。上がったところではETF買いが無くなるのがこれまでのパターンでしたが、8月10日に、719億円の買い取りを行い、驚かれました。ここで、「日銀は日経平均が上がったところでも、買う」との思惑が広がりました。

ところが、8月10日以降は、ETFの大口買いを出していません。日経平均が少しずつ下がっているのに、8月22日まででは、大口買いはありません。その結果、8月は22日までで、2,288億円しか買っていません。8月1-22日の買い付けペースを1年間続けても、年3兆7,960億円の買いにしかなりません。年6兆円買うためには、どこかで買い付けペースを上げなければなりません。

(4)日銀の今後のETF買い方に関する思惑

日銀はどこでETFの買い取りを増やすのか、さまざまな思惑があります。9月に円高が進んで、日経平均が下がるリスクを警戒しているという考え方もあります。

9月に米利上げがなく、日銀が大規模な追加緩和を実施しなければ、円高が進む可能性があります。そこで、日経平均が下がったら、大規模な買い付けを実施するという見方です。

あるいは、機械的に、1ヶ月5,000億円くらいのペースで、淡々と買い付けを続けるという見方もあります。

いずれも、市場参加者の思惑に過ぎず、日銀がどういう買い方をするかは、今後の動きを見ているしかありません。

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