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今後円高圧力が徐々に低下すると予想する理由
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

今後円高圧力が徐々に低下すると予想する理由

2016/8/18
17日の日経平均は、149円高の16,745円でした。17日の東京時間で一時1ドル101.16円まで円安が進んだことが好感されました。
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執筆:窪田真之

17日の日経平均は、149円高の16,745円でした。17日の東京時間で一時1ドル101.16円まで円安が進んだことが好感されました。17日も日銀による日経平均連動ETFの大口買い(707億円)は出ませんでしたが、為替が円安方向に戻ったことを好感して、日経平均は買い戻されました。

先週、円高でも日経平均が上昇するなど、為替連動相場の色彩がやや弱まっていましたが、今週は、円高→株安、円安→株高の流れが復活しており、為替連動相場は、簡単には終わりそうにありません。目先、1ドル100円割れを再度試す可能性が残っており、これからも、為替の動きから目が離せません。

18日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル100.24円でした。17日のCME日経平均先物(9月限)は16,660円でした。

(1)米利上げが視野に入れば1ドル102~107円へ円安が進む可能性も

円高トライは、現時点でまだ終わったといえません。一部には、1ドル95円を目指して円高が進むと予測するアナリストもいます。私はそうは考えていません。年内に、米利上げがあると考えているからです。米利上げが視野に入るにつれて、円高圧力は低下していくと予想しています。

今後、円高圧力が低下すると考える理由を、詳しく説明する前に、まず、ドル円為替の実際のレートと購買力平価(企業物価ベース)の長期推移をご覧ください。

ドル円為替レートと購買力平価(企業物価ベース)の推移:
1973年12月―2016年8月(17日まで)

(出所:購買力平価(企業物価ベース)は、公益財団法人国際通貨研究所)

ご覧いただくとわかる通り、ドル円為替は、長期的に購買力平価(企業物価)からプラスマイナス30%の範囲で動いています。購買力平価よりも20%以上円安にふれたのは2回あります。1984年12月と、2015年6月です。ともに、その直後から、急速に円高が進んでいます。その時の背景は、以下の通りです。

  • 1984年12月

    1980年代前半、米国が「ドル高は国益」とドル高政策を取っていたために、1984年12月には購買力平価よりも20%円安にふれました。ただし、そこで日本の貿易黒字が拡大し、深刻な貿易摩擦が起きました。1985年7月のプラザ合意で、円高を進める方針が主要先進国の間で合意されると、急激な円高が進みました。

  • 2015年6月

    日銀が異次元緩和策を進める中、米国は利上げに向け準備を進めていました。日米金融政策の方向性の差から円安が進みました。韓国や中国が日本の円安誘導を批判していましたが、米国が円安を容認していたために、円安は止まらず、2015年6月には購買力平価よりも25%円安にふれました。ところが、2016年に入り、米国大統領予備選で、トランプ候補やクリントン候補が日本の円安誘導を批判し始めると、円高に転じました。

(2)ドル円が今後1ドル102~107円に向かう可能性があると考える理由

詳しい説明を割愛し、手短に書きます。

  • 為替レートは、長期的には「経常収支が長期的に均衡する水準」に向かうと考えられます。
  • 貿易サービス収支が長期的に均衡する水準は、購買力平価(企業物価)と考えられます。
  • 資本収支が均衡する水準は、内外金利差や経済成長率の差で決まると考えています。

現在の購買力平価(企業物価ベース)は1ドル97円です。1ドル97円では貿易サービス収支が均衡に向かうと想定されます。ただし、日米金利差、成長率の差、金融政策の方向性の差を考慮すると、1ドル97円では、ドルから円への資本流出が続くと考えられます。貿易サービス収支と長期資本収支を合わせた経常収支の均衡を考えると、購買力平価より5~10%の円安が必要と考えています。

以上から、米利上げが視野に入ってくれば、ドル円は、1ドル102~107円に向かうと予想しています。

(3)実際の為替レートは理論値からどんどん離れていくこともある

為替レートは、長期的には経常収支を均衡させる水準(理論値)に向かって動くと考えられますが、短期的には、理論値を無視して、投機筋の思惑で動きます。為替を動かす材料は無数にありますが、アベノミクス開始後のドル円は、主に以下の2つで動いていると言えます。

  • 政治圧力:日米政府がドル円をどちら方向に動かしたいと考えているか
  • 日米金利差・日米金融政策:日米金利差が開く(米金利が上昇する)とドル高(円安)に。

アベノミクスが始まった後、米政府が円安を容認している間、日米金融政策の方向性の差を材料に円安が進みました。ところが、購買力平価より20%以上円安が進むと、世界各国から円安に対する批判が高まりやすくなりました。

2016年に入り、米国の早期利上げが困難との見方が広がる中で、米国が日本の円安誘導を批判し始めたことから、円高が進みました。

(4)今後、円高圧力は徐々に低下すると予想

現在のドル円は、購買力平価と比較して、過度の円安とはなっていません。現在の為替水準で、日本を「為替操作国」と非難することは、無理があります。

11月で米大統領選が終わり、クリントン氏が当選すれば、米国による円安批判は鎮静化すると思われます。それまで米景気が堅調を持続し、12月に米利上げが実現すると考えると、年末にかけて円高圧力は徐々に低下すると思います。米利上げが視野に入れば、1ドル107円まで円安が進む可能性が出ると考えています。

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