執筆:窪田真之
8月3日の日経平均は、前日比308円安の16,083円でした。以下5点が売り材料となりました。
- 一時1ドル100.70円まで円高が進み、輸出企業の業績下方修正の懸念が高まったこと、
- 米景気指標が最近弱く、8月5日発表の7月米雇用統計が弱めとの不安が出たこと、
- WTI原油先物が1バレル40ドル割れまで下がり世界景気に不安を生じていること、
- 日銀が9月に金融政策の効果を総括的に検証すると発表したところ、市場に緩和見直しの思惑が出て、長期国債が売られ長期金利が上昇(-0.3%→-0.1%)したこと、
- 欧州の銀行信用不安が収まらず、2日の欧州市場でイタリアやドイツの銀行株が大きく下げ、日本の銀行株にも外国人売りが波及したこと。
最大の不安材料となっているのが、①円高です。②―⑤の不安材料がすべて、円高につながっています。
なお、8月4日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル101.25円でした。3日のCME日経平先物(9月限)は、16,060円でした。
(1)為替連動相場に戻る
今年に入ってから、円高→株安、円安→株高のリンクが鮮明でしたが、7月29日・8月1日の2営業日だけは、円高が急伸する中で、日経平均が上昇しました。この2営業日で、1ドル当たり3円も円高が進みましたが、日経平均は158円上昇しました。
7月29日に発表された日銀の追加緩和が2営業日だけの円高・株高を生みました。事前に市場で期待されていた量的金融緩和の拡大がなく円高が急伸しましたが、日本株ETFの買い取り額を年3.3兆円から6兆円に大幅増額すると発表したため、日本株は上昇しました。
ところが、円高・株高の共存は一時的でした。8月2日・3日でさらに円高が進むと、日経平均は急落しました。いつもの為替連動相場(円高なら株安、円安なら株高)に戻りました。
ドル円為替と日経平均の推移:2016年1月1日―8月3日

(注:楽天証券経済研究所が作成)
(2)日経平均で15,000-16,000円は大底圏と考えています
日経平均は、大底圏に入ってきたと考えています。配当利回りやPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)などの株価指標で見て割安になってきているからです。突発的な悪材料が出て、さらに円高が進み、日経平均が売り込まれるリスクは残っていますが、日本企業の財務内容・収益基盤が近年改善していることを考えると、この水準は株の買い増しを考えて良いと考えます。
今、特に割安になっているのは、大型株です。大型株中心に外国人投資家の投げ売りが続いたため、大型株ほど、株価指標で見て割安なものが増えています。まずは、割安な大型株から投資を考えたらいいと思います。
(3)小型成長株は短期投資、大型割安株は長期投資で
私は本コラムで、しばしば「割安な大型株に注目」「値動きの激しい東証マザーズ株に要注意」という意見を書いています。何回も同じことを書いているので、読者の方から、以下のようなコメントをいただきました。「窪田さんが大型株好きなのはわかりましたが、小型株の紹介もしてほしい」。
私はファンドマネージャー時代、小型株投資が好きでした。残高300億円の中小株ファンドも10年以上、運用していました。大型株中心に投資することが求められるファンド(投資信託や年金ファンド)でも、私のポートフォリオは、小型株がいつもオーバーウエイト(東証株価指数の構成比よりも高い組み入れ比率とすること)になっていました。
小型成長株は短期間に急騰することがあり、売買対象として魅力的でした。ただし、いつまでも小型株優位の相場が続くわけではありません。時に、小型成長株が一斉に急落し、大型株が急騰する相場も来ます。そういう時、小型株をオーバーウエイトしている私のファンドのパフォーマンスは苦戦しました。
そうならないように、小型株優位の相場が長く続き、大型株の割安度が高まってきたときには、少しずつ小型株を売って、大型株の組み入れを引き上げていくように、気をつけていました。
私は、25年のファンドマネージャー経験から、小型成長株は短期投資、大型割安株は長期投資と割り切る投資スタンスを身につけました。
小型成長株は値動きが速いので、保有中は、気を抜けません。悪材料が出て急落する時は、何としても売り抜けなければなりません。一生懸命調査して、いいと思って買った銘柄でも、思いも寄らない悪材料が出て急落することがあります。悪材料が出た小型株は、ストップ安でも売りにいくことを徹底していました。
それに対して、大型割安株は、いつ見直されて上昇するかわからない長期投資となります。期待して買っても値動きが鈍くてしびれを切らすこともあります。でも、我慢してコツコツと長期投資を続けていると、いつか、大きく上昇することもあって、報われることが多いものです。
私が本コラムで小型株をあまりご紹介しないのは、トレーディングのタイミングが難しい場合が多いからです。じっくり大型の割安優良株に長期投資しながら、小型成長株で空中戦を繰り広げるのが、私のポートフォリオ運用のイメージでした。
本コラムでは、長期投資に向く大型割安株中心に、銘柄紹介をすることが多くなります。小型成長株投資では、ファンダメンタル(業績・財務内容)分析だけでなく、テクニカル(売買タイミングの計り方)分析が必要になります。いずれ、小型成長株投資のテクニカル分析についても、コラムを書いてみたいと考えています。
来週8月8日(月)-10日(水)、窪田は夏季休暇をいただきます。8月8―10日の3日間は、本コラムで「クイズで学ぶテクニカル指標①②③」(3回連載)をお届けします。よろしくお願いたします。







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