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国内外の株式市場に物色変化の兆し
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

国内外の株式市場に物色変化の兆し

2016/7/22
7月21日の日経平均は反発し、前日比128円高の16,810円で引けました。
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執筆:香川睦

7月21日の日経平均は反発し、前日比128円高の16,810円で引けました。米ダウ平均が7日連続して史上最高値を更新したなか、ドル円が107円台まで戻したことが国内株式の堅調を支えました。ただ、先週初からの8日間で日経平均は1,703円上昇し、来週日米で予定されている金融当局による会合を控え、利益確定売りが出やすい状況と言えます。21日午後には「黒田日銀総裁がヘリコプターマネー政策に否定的な見解を示した」と伝えられ、ドル円は105円台に下落しました。

22日の日本時間5時30分現在、為替は1ドル105.77円、CME日経平均先物(9月限)は16,565円となっています。

(1) 米株高と円安が続くなら-日経平均は17,000円台も視野に

日経平均上昇の背景として、米国株高とドル円の戻り(円安)に、政策期待が重なったことが挙げられます。参考までに、ダウ平均を円換算した数値(ダウ平均とドル円の単純な積)と日経平均の水準を回帰分析すると、2010年以降の決定係数は0.96(相関係数は0.98)と極めて高位だったことがわかります。これは、ダウ平均とドル円が日経平均の趨勢に大きな影響を与えてきたことを示します(図表1)。そこで、現在のダウ平均とドル円を回帰式(中心値)に代入してみると、日経平均の上値目途として17,600円程度が浮上してきます(20日時点)。意外に(?)単純なモデルではありますが、ダウ平均とドル円が現水準程度で推移するなら、日経平均は17,000円台まで回復する余地があると考えられます。

図表1:円換算した米ダウ平均と日経平均株価

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年7月20日)

(2)7月初来の国内外株式に物色変化の兆し

米国を中心に世界株式が堅調となるなか、7月以降の業種別株価指数をグローバルに(世界、米国、欧州、日本市場で)みてみると、内外のファンドマネジャー(機関投資家)が業種(セクター)物色を変化させている兆しが窺えます。

図表2が示す通り、7月初来の世界10大業種別株価指数のリターン(騰落率)で市場平均をアウトパフォームしている(市場平均よりリターンが優勢である)業種には、情報技術(IT=ハイテク関連)、一般消費財サービス(自動車や住宅関連を含む景気敏感系消費財業種)、素材、資本財サービス、金融(銀行や証券など)があり、逆にアンダーパフォームしている(リターンが劣勢である)業種には、ヘルスケア(薬品など)、生活必需品、金利敏感業種が含まれます。そして、こうした物色変化が米国、欧州、日本の各市場で同様に起きていることに注目したいと思います。特に日本市場だけをみると、本年上期(1-6月)にグローバル景況感の鈍化や円高で劣勢を余儀なくされていた業種の「リベンジ」(出遅れ修正)が、米景況感の改善、素材市況の回復、米長期債金利(利回り)の反発、ドル円の反発(円安)を契機に鮮明化しているようにみえます。なお、国内外市場で7月初来のリターンが最上位となっている情報技術(IT)は、景気敏感業種の一種でかつ高ベータ(β=市場平均より上下の変動性が高い=市場平均株価が上昇すると高いリターンが期待できそうな高成長)銘柄群が多く含まれている点にも注目したいと思います。

図表2:世界株式市場の10大業種別物色動向

(注1)MSCI指数(世界、欧州、日本)及びS&P500指数(米国)の
10大業種別株価指数(米国)の期間騰落率で比較。
(注2)上記一覧は、MSCI世界10大業種別株価指数の
「7月初来騰落率」を降順にして並べたものです。
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年7月20日)

(3)米景況感と商品市況の改善が鮮明に

最近の物色動向変化に影響を与えている要因として、米景況感の改善、素材市況の回復、長期債利回りの反発(金融機関にとり長短金利の拡大は利ざや拡大でメリット)、為替相場の反転(円高→円安=自動車や資本財など輸出業種に業績面でプラス)などが挙げられます。参考までに、グローバルな景況感に比較的敏感なJOC商品指数と(上段)と米経済サプライズ指数(下段)の推移を重ねてみました(図表3)。なお、米経済サプライズ指数(Economic Surprise Index)とは、日々発表される経済指標の発表値が市場予想平均(コンセンサス)を上回ってきたか(あるいは下回ってきたか)のトレンドを示すものです。

5月に底入れしたようにみえる米経済サプライズ指数は、7月に入ると上向き傾向を強め、米景況感が改善傾向にあることを示してきました。実際は、「米景気が好調」と言うより、「市場予想(エコノミストによる慎重な見通し)より米景気が底堅い」との状況を確認したと考えられます。こうした景況感の改善を映し、川上部門のおける素材市況を示すJOC商品指数も回復基調を辿っており、同指数が前年同月比でプラスに転じるのは「時間の問題」のようにみえます。このことは、世界市場で素材業種が堅調となっている背景と考えられます。

また、米景気の見通し改善と株高の組み合わせは、債券利回り上昇に繋がりやすく、ドル円と日経平均の堅調を支えていると思われます。少なくとも、今年前半のようにドル円の下落(円高)を進行させるような不確実性がやや後退しているとは言えそうです。

図表3:米経済サプライズ指数とJOC商品指数(過去1年)

(注1)JOC商品指数=JOC-ECRI Industrial Price Index
(注2)米経済サプライズ指数=経済指標の発表値が市場予想と比較して
良かったか悪かったかを積み上げた指数
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年7月20日)

(まとめ)来週の日銀・金融政策決定会合がヤマに

上述したように、当面の日経平均の先行きは、米景況感の改善、米債金利(利回り)の上昇やリスク選好を反映した円安(ドル高)が続くか否かが鍵を握ると言えそうです。ただ、国内要因として「景気対策や金融政策への期待」がやや先行してきた分、期待に沿う規模や内容を伴う対策が発表されない場合、日経平均が反落するリスクには留意が必要です。

安倍政権による景気対策(事業規模で10兆円~20兆円?)や日銀による金融政策の中身(量的・質的緩和の拡大?)については、現時点でその実施の有無、規模や中身を巡る観測はいまだはっきりしていません。特に、週後半(7月28-29日)に開催される日銀・政策決定会合に向け、「ヘリコプターマネー政策(財務省が新規に発行する国債を日銀が直接「永久債」(償還義務がない債券)として引き受け資金供給する政策)」を巡る憶測のみが先行している感もあります。来週の政策決定が「据え置き」もしくは市場の期待に沿わない内容となった場合、いったん円高・株安に転じるリスクは否定できず警戒が必要です。

ただ、国内での政策対応は別にして、米景況感の改善とドル金利の上昇が続くなら、年前半にみられた円高進行は示現せず、ドル円の下落が一時的に留まる可能性もあります。この場合、7月入りして以降の業種別物色の趨勢が暫く続く可能性があり、投資対象としての業種や銘柄を検討する際の参考にしていただければと思っています。

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