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市場と対話しない日銀
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

市場と対話しない日銀

2016/7/20
19日の日経平均は、前日比225円高の16,723円と続伸しました。1ドル106円前後まで円安が進んでいることを背景に、外国人投資家が日本株を買い戻す動きが続きました。
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執筆:窪田真之

19日の日経平均は、前日比225円高の16,723円と続伸しました。1ドル106円前後まで円安が進んでいることを背景に、外国人投資家が日本株を買い戻す動きが続きました。投資環境の好転を評価したいところですが、1つ不安材料が残っていることが気がかりです。外国人投資家の一部に日銀がヘリコプターマネー(ヘリマネ)を実施するとの期待が広がっていることです。黒田日銀総裁は、ヘリマネは財政法で禁止されており実施できないと発言していますが、それでも「ヘリマネと実質的に同じ効果を持つ大規模追加緩和がある」との期待が1人歩きしている可能性はあります。

7月の日銀金融政策決定会合の結果が発表される、来週7月29日(金)の昼ごろに、注意が必要と考えています。

なお、20日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル106.10円です。19日のCME日経平均先物(9月限)は16,610円でした。

(1)日本株は大底圏と考えているが、突発的な悪材料で急落するリスクはまだ残っている

日本株は、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りから見て割安と考えています。昨年の夏以降、外国人投資家が大型株中心に投げ売りを続けてきたので、大型株の割安度が目立ちます。特に、時価総額の大きいTOPIXコア30に含まれる銘柄群の割安度が際立っています。

米国株の最高値更新、ブレグジット(英EU離脱)ショック緩和、米大統領選でドナルド・トランプ旋風がやや鎮静化しつつあることなど、リスクだらけだったグローバルな投資環境に少しずつ改善が見られつつあります。日本株も、割安な大型株から、時間分散しながら買い増しを始めたいところです。

ただし、来週のイベントである、日米金融政策決定会合の発表(アメリカは7月27日、日本は7月29日)には注意が必要です。特に、日銀の金融政策発表には警戒が必要です。

(2)市場と対話しない日銀

金融政策の変更によって金融市場がショックを受けないように、欧米では中央銀行がマーケットと対話する努力をしています。まず、金融政策変更についての考え方を、繰り返し市場に流し、市場の反応を見ます。市場は、中央銀行のメッセージを受けて、将来の政策変更を少しずつ織り込んでいきます。最終的に、政策変更を発表した時には、織り込み済みで、市場がほとんど反応しないことを理想としています。

米FRB(中央銀行)の市場との対話の仕方にもまだ改善余地がありますが、それでも政策を変更した時に、市場に大きなサプライズが起こってはいないという意味では、対話に成功しているといえます。

これに対して日本銀行は、伝統的に秘密主義を貫いてきました。金融政策の変更を予知されないように秘匿してきたので、政策変更はサプライズを伴うことが多かったと言えます。

黒田日銀総裁は、2013年4月の着任時に、マーケットと対話する開かれた日銀を目指すと宣言しました。あれから3年、確かに黒田総裁は、マーケットに強烈なメッセージを出し続けてきました。ところが、一見、明解に聞こえる黒田語録だが、肝心な政策変更については、予断や言質を与えないように、いつも巧妙に秘匿されています。その結果、市場は、黒田総裁の真意をいつも読み間違えます。日銀会合の結果発表直後は、市場が荒れます。

昨年12月18日、今年の1月29日、そして、4月28日、6月16日の日銀会合の結果発表後に、マーケットは大荒れとなりました。マーケットと対話しているフリをして、日銀がいかに重要なメッセージを出していないか、よくわかります。サプライズを起こして、マーケットを荒れさせ、日銀の力を見せ付けるという古い発想から抜けきれていないことがわかります。

昨年12月18日の日経平均は急騰後に急落

2015年12月18日の日経平均の動き

昨年12月18日、昼に金融政策決定会合の結果が発表されました。ETF買い取り額を年間3,000億円増額する以外、特に大きな変更はありませんでした。それでも、「追加緩和があった」の第一報を受けて、日経平均は昼から一時急騰しました。ただし、まもなく内容が小粒で評価できないことが市場に伝わり、日経平均は急落に転じました。

評価できない内容だったのに、なぜ、投資家は一時、日経平均を急騰させたのでしょうか?投資家の頭には、2014年10月31日の黒田バズーカのイメージがありありと焼きついていました。追加緩和に消極的と見られる発言を繰り返していた黒田日銀が、いきなり大規模追加緩和(黒田バズーカ)を発表すると、日経平均は一貫して上昇を続け、前日比755円高となりました。ここで投資家には、「黒田日銀が追加緩和を発表すれば日経平均が急騰する」という記憶が刷り込まれました。

そこで、飛び出したのが、12月18日の緩和補完策でした。内容を精査することなく、「追加緩和が出た!」の一言に反応して、短期筋が一時、日経平均を買い上げ、その後失望から投げ売りになりました。

2014年10月31日の大規模追加緩和も、2015年12月18日の緩和補完策も、市場に期待がなくなったタイミングで実施されました。黒田総裁の発言を時系列で追っていくと実に、巧妙に本音を隠していることがわかります。事前予想がなくなったタイミングで実施して、マーケットを驚かせるのが目的だとしたら、うまくいっています。

1月29日の日経平均は、急騰後急落し、その後買い戻されて大幅上昇

2016年1月29日の日経平均の動き

非常に複雑な反応になったのが、1月29日の日銀会合結果発表後の日経平均です。追加策発表を受けて、まず急騰しました。「マイナス金利導入」という、マーケットで想定外の緩和策が発表されたことが好感されました。ところが、すぐに利益確定売りが増加し、急落を始めました。売りが売りを呼んで、急落となりました。ところが、その後、「日銀が発表したマイナス金利政策は、効果絶大」と内容を評価する声が広がり、買いが買いを呼び、この日は前日比476円の大幅高になりました。

マイナス金利導入に黒田総裁が消極的発言を繰り返していたので、マイナス金利導入について、市場は事前に考えることができませんでした。予想外の材料が急に飛び出したので、急騰したり急落したり荒れる相場となりました。

4月28日は「追加緩和なし」がネガティブ・サプライズで日経平均が急落

2016年4月28日の日経平均の動き

日銀が、何らかの追加緩和を行うという期待が、外国人投資家の間で事前に膨らんでいたので、追加緩和なしのニュースで、日経平均は急落しました。事前に期待がない時に緩和を実施し、期待がある時は実施しないことが、繰り返されています。

6月16日は「米利上げなし」「日銀追加緩和なし」で円高が進み、日経平均が急落

2016年6月16日の日経平均の動き

6月16日は、前日の米金融政策決定会合で利上げがなかったことが伝わり円高が進み、朝方から日経平均は弱含んでいましたが、昼に日銀の追加緩和がないことがわかり、円高・株安が加速しました。

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