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消費停滞でも元気な小売業
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

消費停滞でも元気な小売業

2016/6/22
21日の日経平均は203円高の16,169円でした。ブレグジット(英国のEU離脱)リスク低下を好感して、20日の欧米株が上昇した流れを引き継いで続伸しました。
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執筆:窪田真之

21日の日経平均は203円高の16,169円でした。ブレグジット(英国のEU離脱)リスク低下を好感して、20日の欧米株が上昇した流れを引き継いで続伸しました。21日の寄り付き直後は、為替が1ドル103.55円まで円高にふれたことを嫌気し、日経平均は194円安の15,770円まで下がりましたが、その後、為替が1ドル104.40円まで円安に戻ったことから、上昇に転じました。

22日の日本時間午前6時20分現在、為替は1ドル104.75円、CME日経平均先物(9月限)は16,115円でした。

今日は、小売株への投資の考え方について書きます。

(1)小売大手には、最高益更新中の銘柄が多い

少子高齢化が進む日本の消費は停滞が続いていますが、意外にも、日本の小売業大手には、安定的に最高益を更新し続けている企業が多数あります。小売業の時価総額上位25社で見ると、実に19社が今期最高益を更新する予想です。

小売業時価総額上位25社の連結経常利益:前期実績と今期予想、今期最高益更新の有無

(金額単位:億円)

コード 銘柄名 決算期 前期
経常利益
前年比 今期
経常予想
前年比 最高益
3382 セブン&アイHLDG 2月 3,502 2.5% 3,764 7.5%
9983 ファーストリテイリング 8月 1,807 33.4% 1,025 -43.3%  
8267 イオン 2月 1,797 17.8% 1,850 3.0%  
9843 ニトリHLDG 2月 750 10.4% 800 6.7%
2651 ローソン 2月 696 -2.9% 730 4.9%
7453 良品計画 2月 327 22.9% 380 16.2%
9989 サンドラッグ 3月 338 27.6% 365 7.9%
3391 ツルハHLDG 5月 326 16.6% 379 16.2%
7532 ドンキホーテHLDG 6月 402 13.2% 415 3.3%
3092 スタートトゥデイ 3月 179 18.1% 222 23.9%
8028 ファミリーマート 2月 519 22.0% 525 1.2%
2670 エービーシー・マート 2月 422 4.4% 437 3.4%
8227 しまむら 2月 407 5.5% 469 15.2%  
9831 ヤマダ電機 3月 627 76.5% 800 27.5%  
3064 MonotaRO 12月 71 76.5% 93 30.5%
3349 コスモス薬品 5月 190 63.6% 191 0.4%
3099 三越伊勢丹HLDG 3月 367 6.2% 380 3.5%
8252 丸井グループ 3月 292 4.1% 320 9.7%  
2702 日本マクドナルドHLDG 12月 292 赤字 320 黒転  
7649 スギHLDG 2月 238 8.7% 250 5.0%
8273 イズミ 2月 311 4.5% 338 8.7%
3086 J.フロント リテイリング 2月 479 18.4% 480 0.2%
3141 ウエルシアHLDG 2月 204 NA 237 16.3%
2782 セリア 3月 121 13.3% 130 7.8%
3088 マツモトキヨシHLDG 3月 298 48.8% 303 1.7%

(出所:今期経常利益はセブン&アイのみアイフィス・コンセンサス予想、他は会社予想。今期とは、2月期決算企業では2017年2月期、3月期決算企業では2017年3月期を指す。5月期決算企業でツルハは2017年5月期、コスモス薬品は2016年5月期を指す。今期は、6月期決算企業では2016年6月期、8月期決算企業では2016年8月期、12月期決算企業では2016年12月期を指す。楽天証券経済研究所が作成)

日本および世界の景気に不安がある中、日用品主体で最高益を安定的に更新している小売株は、投資先として有望と考えています。来年度に予定されていた消費増税が2年半、延期されることになったことも、追い風です。

今、円高がどこまで進むかわからない環境下、円高でダメージを受ける輸出株が買いにくくなっていますが、小売株は、原則、円高メリット株である点も、評価できます。大手小売業は、海外で生産した製品を日本に輸入して販売するケースが多く、円高はメリットとなります。ただし、インバウンド(来日外国人観光客の買い物)需要によって大きな恩恵を受けてきた小売企業の中には、円高でインバウンド需要が減少するダメージを受けているところもあるので、注意を要します。百貨店は、インバウンド需要減少と、高額品消費不振の2つの逆風を受けているので、当面、投資を避けた方がいいと思います。

投資する場合は、最高益を安定的に更新中の企業にしぼった方がいいと思います。日用品(食料品・市販医薬品・雑貨・カジュアル衣料品など)を扱う企業で、最高益を安定的に更新する企業が有望と考えています。コンビニ・ドラッグストアなど小型店をチェーン展開する企業が強く、百貨店・大手スーパーなど総合小売業は苦戦が続いていることもわかります。

(2)最高益を更新中の小売企業のビジネスモデル

最高益を更新しつつある小売大手には、以下のような特色を持った企業が多いことがわかります。

  • 製造小売業として成長
    利益率の低いナショナルブランド品の販売を減らし、自社で開発したプライベート・ブランド品を増やすことで競争力を高め、売上・利益を拡大させてきました。自社ブランド品について、商品開発から生産・在庫管理までやるので「製造小売業」とも言われます。家具のニトリ、雑貨の良品計画、ドンキホーテや、コンビニ(セブン&アイ、ローソン、ファミリーマート)はこの取り組みが進んでいます。百貨店・家電量販店はこの取り組みが遅れています。
  • 海外で成長
    内需株であった小売業が、近年はアジアや欧米で売上を拡大し始めています。日本で強いビジネスモデルが、そのまま海外で通用するケースもあります。良品計画、セブン&アイなどは海外での売上拡大が軌道に乗ってきました。
  • ネット販売で成長
    ネット販売が本格成長期を迎えています。スタートトゥデイ、MonotaROなどがネット小売業の成長企業となっています。大手スーパーや百貨店でも最近ネット販売を強化するところが増えていますが、今のところ配送コストが高過ぎて利益を確保するメドがたっていません。

(3)インバウンド需要で稼いできた企業には要注意

急激な円高の影響を受けて、訪日外国人観光客数の伸び率が鈍化しています。インバウンド関連株には要注意です。特に、高額品を大量に購入していく「爆買い」で潤っていた企業は要注意です。百貨店や家電量販店には、インバウンド需要落ち込みの逆風が強くなりつつあります。

一方、食料品・医薬品・化粧品など安価な日用品を大量に購入していくインバウンド需要は、大きくは落ち込んでいません。同じインバウンド関連株でも、日用品を扱うドラッグストアの方が、マイナス影響は小さくなっています。

 

訪日外国人数の月次推移:2011年1月―2016年5月

(出所:日本政府観光局(JNTO))

訪日外国人数の前年比増加率:2015年1月―2016年5月

 

 

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