10日の日経平均は349円高の16,565円でした。取引時間中に、為替が1ドル108.84円まで円安に動いたことが好感されました。円高で売られ円安で買い戻される為替連動相場が続いています。為替は、ロンドン市場に入って1ドル109.27円まで円安が進みました。11日の日本時間午前6時現在も、109.27円です。同時刻のCME日経平均先物は16,780円でした。

(1)ドル円為替レートに連動する日経平均

ドル円為替レートと日経平均の動き:2016年1月―5月(10日まで)

(注:楽天証券経済研究所が作成)

日本経済は、円安から大きな恩恵を受ける一方、円高ではダメージを受けます。以前より、日経平均は円安で買われ、円高で売られる傾向が強かったのですが、最近、その傾向が強まっています。上のチャートを見るとわかる通り、今年は特に、毎日の日経平均の上下動が、為替の動きで決まることが多くなっています。

(2)なぜ、円安に戻ったか?

前日に、麻生財務相が、為替市場での急激な円高に対して「当然介入の用意がある」と語った効果が出ているとの見方もありますが、「口先介入で実際に為替介入できるわけない」との見方が主流です。今ここで為替介入したら、米国から「為替操作国」として制裁の対象となりかねないからです。

それでも、円安に戻ったのには、2つの理由があると思います。

短期筋の円買いポジションが過去最高まで積み上がっていたこと

短期筋は、円高を見込んで既に円を買い持ちしていて、円高材料が出たところで、利益確定する方針だったと考えられます。5月6日発表の4月の米雇用統計がネガティブでしたが、さらなる円高が進まなかったので心配していたところ、麻生発言が出たため、一旦ポジションを閉じる向きもあったと思います。

6月米利上げの見通しが復活する可能性がなくなったわけではないこと

ドル高・原油安を受けて1-3月は米景気が軟化しました。1-3月の米企業業績も冴えない内容です。ただ、足元、ドル安・原油高が続いていることを受けて、4月以降、米景気が持ち直している可能性もあります。

4月の雇用統計が良くなかったため、4月からの米景気回復・6月利上げの可能性が低下したことは事実ですが、4月雇用統計(非農業部門雇用者数)は速報値であり、今後修正される可能性もあります。また、単月だけのデータでは確信的な判断はできません。5月以降のデータも確認し、4月以降の米景気トレンドについて判断する必要があります。

(3)決算発表に注目

日本企業の3月決算発表がいよいよ大詰めを迎えています。今週いっぱいで、ほぼ出尽くす見込みです。今週は、引き続き、好決算銘柄が買われ、決算がネガティブだった銘柄が売られる動きが続きそうです。明日以降、3月決算の集計(前期実績と今期予想)を見てコメントします。