25日の日経平均は、前日比133円安の17,439円でした。過去2週間の上昇が急だったので、利益確定売りに押されました。一時1ドル110.98円まで円高が進んだことも、嫌気されました。28日昼に日銀政策決定会合の結果が発表されますが、市場の期待通りに追加緩和が発表されないと嫌気されるリスクもあり、様子見姿勢に転じる投資家が増えました。
26日の日本時間午前7時現在、為替は1ドル111.22円で、CME日経平均先物(6月限)は、17,455円です。
読者の方から「Sell in May(5月に売れ:米国の相場格言)」 をどう考えたら良いかと質問をいただきました。今日は、それについて書きます。
(1)5月の日経平均は下がることが多いか?
まずは、事実を確認してみましょう。以下は、過去16年の実績です。
日経平均の5月の騰落率と年間騰落率比較:2000年-2015年
年 | 5月の騰落率 | 1年間の騰落率 |
---|---|---|
2000年 | ▲9.1% | ▲27.2% |
2001年 | ▲4.8% | ▲23.5% |
2002年 | +2.4% | ▲18.6% |
2003年 | +7.6% | +24.5% |
2004年 | ▲4.5% | +7.6% |
2005年 | +2.4% | +40.2% |
2006年 | ▲8.5% | +6.9% |
2007年 | +2.7% | ▲11.1% |
2008年 | +3.5% | ▲42.1% |
2009年 | +7.9% | +19.0% |
2010年 | ▲11.7% | ▲3.0% |
2011年 | ▲1.6% | ▲17.3% |
2012年 | ▲10.3% | +22.9% |
2013年 | ▲0.6% | +56.7% |
2014年 | +2.3% | +7.1% |
2015年 | +5.3% | +9.1% |
ご覧いただくとわかる通り、過去16年で見ると、5月の日経平均は上昇が8回、下落が8回でした。特に5月は下げが多いと言うほどのことはありません。ただし、よく見ると、2010年~2013年に4年連続で5月が下げています。2012年・2013年は、年間で日経平均が大幅上昇しているにもかかわらず、5月はマイナスでした。5月に米国で悪材料が出て、米国株が下がり、日本株にも外国人の売りが波及して下がることが、4年続きました。
Sell in Mayは、米国ウォール街の相場格言で、米国株が5月に高値をつけ、9月まで下がることが多いと示唆するものです。もともと、日本の格言ではないので、日経平均がそれに従って動く必然性はないのですが、近年は、米国株が悪材料で下がると、日本株にも外国人の売りが波及するので、日本株も、米国の格言にふりまわされるようになったとも言えます。
それでは、NYダウに5月高値が多いかと言うと、そういうイメージがあるだけで、実際にはそうならない年もたくさんあります。普段、忘れられている格言だったのですが、2010~2013年に4年続けて「魔の5月」となったため、急きょ注目が高まりました。米国で盛んにSell in Mayが話題にされるようになり、その話がそのまま日本に伝わって、日本でも「5月は怖い」のイメージが広がりました。
2010年~2013年のNYダウの動き
2014年は5月が近づくと、日本でもアメリカでも、Sell in Mayの話がしきりに語られるようになりました。ところが、2014年5月は日米とも上昇の月となりました。続く2015年も、5月前にSell in Mayが話題になりましたが、上昇の月となりました。2年連続で5月が上昇したので、今年はSell in Mayを話題にする人が減りました。
「今年の5月に、NYダウや日経平均が上がるか下がるか」、その時になってみないとわかりません。4月中に株が上がり過ぎれば、5月は下げる月になるかもしれません。4月後半に株が下がれば、5月に見直されて、買われるかもしれません。日経平均で見ると、過去16年で5月は8勝8敗ですから、特にアノマリー(株式相場で繰り返し起こるパターン)といえるようなものはないと思います。
(2)4~5月に警戒しなければ、ならないこと
Sell in Mayが話題になっていないからといって、油断はできません。今年の5月が下落になる可能性もあります。これから5月にかけて、注意してみておく必要があるのは、以下の5点です。
日本企業の3月決算の発表
前期(2016年3月期)実績も、今期(2017年3月期)業績予想も、冴えないものとなりそうです。
中国景気と原油価格
1-3月に想定外に持ち直した中国景気ですが、今後息切れしないか、注意してみている必要があります。米国・中国での原油需要の増加を織り込んで原油価格が上昇し、世界的にリスク・オンが復活しつつありますが、中国景気が再び軟化すれば、原油価格が下がり、世界的なリスク・オン・ムードに水を差します。
米利上げ見通しとドル円為替レートの動き
6月のFOMC(米金融政策決定会合)で利上げ実施の見通しが広がれば、為替は円安基調で推移すると思われます。ただし、米景気が軟化し、利上げの見通しが広がらないと、円高が進むリスクもあります。
消費税引き上げ延期の議論
2017年4月に予定されている消費税引き上げ(8%→10%)を、再度延期するか否か、早い時期に何らかの結論が出されるものと思われます。
米大統領選でのトランプ人気の行方
反グローバル・反資本主義の過激発言を繰り返す共和党の候補者ドナルド・トランプ氏の人気が一段と高まると、世界の株式市場にとってマイナスとなります。