29日の日経平均は、前日比30円安の17,103円でした。29日は3月決算の配当落ち日でした。配当落ち分が約127円あります。配当落ちを考慮すると、29日の日経平均は実質97円高だったことになります。朝方、1ドル113.30円で推移していた為替が、東京市場の大引け時に、1ドル113.60円まで円安が進みましたが、円安が好感されて、日経平均もジリ高となりました。

(1)配当落ち127円の説明

29日は、3月決算の配当金を受け取る権利が確定した日でした。配当金額は現時点で確定していませんが、予想値はあります。日経平均採用銘柄で計算すると、約127円分(約0.74%)の配当金が支払われると、予想されています。

28日大引けに日経平均を1単位保有していた投資家は、29日に、配当金約127円を受け取る権利を確定させました。したがって、29日の日経平均が前日比で127円下がっても、投資家の保有する価値は横ばいです。配当金127円を受け取る権利を獲得していますので、昨日(29日)は、日経平均が127円安でも、実質横ばいと見なせるわけです。

昨日の日経平均は30円安でしたので、配当金受け取り権127円を得ていることを勘案すると、実質、97円高と同じです。

(2)今週はドル円為替レートに密着した値動きが続いている

今週は、週末4月1日(金)に為替相場に影響を与えるイベント【注】があることから、為替レートの動きに注目が集まっています。

【注】米国で3月雇用統計、3月ISM製造業景況指数、日本で3月日銀短観の発表があります。4月のFOMC(米金融政策決定会合:4月26・27日)で利上げがあり得るのか、判断する重要指標となります。

最近は、為替を見ながら、日経平均も動いています(円高なら下げ、円安なら上げ)。今週は、米FRB(中央銀行)要人から「タカ派(早期利上げに賛成)」発言が目立ち、「4月にも利上げがあるか?」との思惑が広がり、ジリジリと円安(ドル高)が進んでいます。円安を好感して、日経平均も堅調です。

ただし、1ドル114-115円のところに厚い壁があり、そこを超えて円安が進まない限り、本格的な円安転換とはみなされません。113円台の円安では、日経平均も、17,000円を大きく越えて上昇するのはむずかしくなっています。

ドル円為替レートの動き:2016年1月1日―3月29日(日本時間18時)

週末のイベントで、1ドル114円を越える円安が進むか、あるいは打ち返されて再度円高に進むか、注目されます。

(3)その時々で短期筋が注目するものは変わる:今は為替が重要

今日は、為替に焦点を当てて、解説しました。今週は、為替を見ながら日経平均が動いていると感じているからです。

けっして日本株が為替だけで動くわけではありません。原油先物、NYダウ、上海総合株価指数、要人発言、その他いろいろな要因で株は動いています。ただ、短期筋が注目する指標は、その時々で変わり、今週は、為替が特に見られているように思います。

引き続き、為替と原油先物の動きは、特に注目していく必要があると思っています。

WTI原油先物(期近)の動き:2016年1月4日―3月28日

4月17日にOPEC・非OPECの主要産油国による会合があり、増産凍結についてなんらかの合意が得られると期待されています。4月17日前後に原油先物がまた大きく動く可能性に注意が必要です。会合での合意の中身により、上へも下へもどちらにも大きく動く可能性があります。