17日の日経平均は、38円安の16,936円でした。WTI原油先物の反発が続く中で、欧米株式の上昇が続いている流れを受け、日経平均は一時、前日比278円高の17,253円まで上昇しました。ところが、その後、1ドル112円台前半まで円高が進んだことを嫌気し、マイナスに転じました。

17日の海外市場に入り、一時1ドル110.62円まで円高が進みました。日本時間で18日午前6時30分現在では、1ドル111.41円となっています。CME日経平均先物(6月限)は16,700円まで低下しました。ただし、17日のNY市場で、WTI原油先物が1バレル40ドル台まで上昇したことを好感して、NYダウが155ドル高の17,481ドルと、5日続伸したことは強材料です。世界的にリスク資産を買い戻す流れは、まだ継続しています。

今日の日経平均は円高を嫌気して、下落して始まる見込みですが、下がったところでは、押し目買いの動きも出ると予想されます。

(1)現時点で日本株にとって最大の不安材料は、円高の進行

2016年度(2017年3月期)の企業業績見通しに大きな影響を与える為替レートの落ち着きどころが見えないことが、日本株にとって不安材料となっています。

ドル円為替レート推移:2016年1月1日―3月17日(日本時間19時30分まで)

ドル円為替レートの2月以降の動きを見ると、ドル高(円安)材料が出て、円安が進んでも、1ドル114円ではきっちり打ち返されていることがわかります。米国FRB(中央銀行)が利上げしにくい環境が続く中、1ドル114-115円の壁は厚くなっている印象です。

日米の金融政策決定会合の発表の後、もう一度、円高を試す動きが出ています。

  • 日本の金融政策決定会合の結果から、日銀は金利のマイナス幅拡大への意欲をやや低下させたと解釈されました。

黒田日銀総裁は、マイナス金利導入を発表した1月の金融政策決定会合の後、「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」と話していましたが、今回はその表現を使わず、「必要な場合には、量・質・金利の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる」という表現に変えました。マイナス金利の弊害への批判が高まっていることを意識し、金利引き下げにはやや慎重になりつつあると解釈されました。実際、今回、MRFをマイナス金利の対象外とするなど、マイナス金利の適用範囲を狭めていることにも、マイナス金利の弊害への配慮が表れています。

  • 米国FOMC(金融政策決定会合)で、年末のFF金利見通しが引き下げられたことが、円高(ドル安)進行のきっかけとなりました。

今回利上げを見送ったことは市場の事前予想通りでした。ただし、FOMCメンバーによる2016年末のFF金利予想(中央値)が、1.375%から0.875%まで引き下げられたことには、やや意外感がありました。FOMCメンバーは年内0.25%の利上げを2回しか見込んでいないことになります。6月の追加利上げが見込みにくくなっているとの解釈が広がったことが、円高(ドル安)が進むきっかけとなりました。また、市場予想では、年内1~2回の利上げしかできないとの見方が広がりつつあります。一部には、年内1回も利上げはできないとの意見も出てきています。

(2)原油とNYダウの反発が続いていることは、強材料

世界的にリスク資産を買い戻す流れが途切れたわけではありません。原油先物の反発とNYダウの上昇は続いています。つまり、現在進んでいるのは、リスクオフの円高(安全資産としての円に投資家が避難する動き)とは異なります。今日の日経平均は、円高に反応して下落しそうですが、下げたところでは、押し目買いの動きも出ると考えられます。

今日は、円高で業績に悪影響を受ける輸出関連が売られる一方、原油価格の反発で恩恵を受ける資源関連株や内需株に押し目買いが入る展開となりそうです。