先週の日経平均は、1週間で826円(5.1%)上昇し、17,014円となりました。世界的に、株・原油先物・高金利通貨・ハイイールド債(低信用で高利回りの債券)が一斉に買い戻される「ミニ・リスク・オン」相場となる中、日本株にも買い戻しが続きました。

これまでの値下がり率が大きかった銘柄ほど、値上がり率が高くなる1週間でした。今週も、乱高下しながら、徐々に下値を切り上げていく展開になると考えられます。ただし、為替・原油先物に波乱があると、短期的に日本株も売られる可能性がありますので、注意が必要です。

(1)米景気は「堅調」の見方広がる

先週は、米景気に重要指標の発表が続きました。先週発表になった2月の指標は、今のところ良好といえる内容でした。一部で米景気も失速する懸念が語られていましたが、米景気堅調を確認して、安心感が広がりました。

米景気が強過ぎると「米追加利上げ早まる→世界的に株安」の連想が働きますが、先週は、「程よく堅調」と見られる内容でした。では、先週、発表になった2月の雇用統計と、ISM製造業・非製造業景況感指数を、見てみましょう。

米雇用統計:非農業部門雇用者増加数(前月比)
および完全失業率の推移:2014年1月-2016年2月

(出所:米労働省)

米国の短期的な景況をよく表す指標として注目が高い「非農業部門雇用者増加数」が、2月(速報値)は24万2千人増と、米景気好調と判断できる20万人増を上回っていたことから、安心感が広がりました。1月が20万人を下回る17万2千人増で、不安視されましたが、2月のデータが出て、雇用の改善が続いていることを、再確認しました。

完全失業率も良好な水準です。失業率は、短期的な景況ではなく、より長期的な米国の雇用情勢を表します。2月は4.9%と1月と同水準で、長期的な失業率の低下が続いていることを確認しました。

米ISM製造業・非製造業景況感指数:2014年1月―2016年2月

(出所:米ISM供給管理公社)

米国の製造業景況感指数が、景況判断の分かれ目である50を下回っていることが、不安材料となってきました。2月は49.5と、50を下回っているものの改善が見られたため、安心感につながりました。好調だった非製造業の景況感指数が、低下傾向であったことも不安材料でしたが、2月はほぼ横ばいでした。

(2)為替・原油先物の値動きには注意

世界的な「ミニ・リスク・オン」で、円安・原油先物高が続いています。円高・原油先物安に反転するタイミングでは、日本株も売られるので、注意が必要です。日経平均は、乱高下しながら下値を切り上げていく展開と考えています。

年初からの日経平均・上海総合株価指数・WTI原油先物(期近)・ドル円為替レートの動き:2015年12月末~2016年3月4日