2日の日経平均は、661円(4.1%)高の16,746円でした。前日の海外市場で、円安・原油高・欧米株高が進んだことが好感されました。2日は、上海総合株価指数も、前日比4.3%上昇しました。リスク資産がそろって上昇する「ミニ・リスク・オン」状態です。これで底入れと即断はできませんが、底入れに向けた最初の動きと見ることはできます。

(1)裁定買い残高は1.83兆円まで減少

裁定買い残高の変化に、株価指数先物・オプションに絡む投機的ポジションの変動が表れます。3月2日に東京証券取引所が公表した、2月26日時点の裁定買い残高は1.83兆円まで減少しています。先物・オプションが絡む投機的な買いポジションの整理が進んでいることがわかります。今後、先物・オプションに絡む突発的な売りは減少すると予想されます。

日経平均と裁定買い残高の推移:2013年1月4日―2016年3月2日

(出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成)

裁定買い残高は、毎週水曜日の15時30分ころに、前週末の状況が、日本取引所グループのHPに公表されます。また、裁定買い残高の推移をまとめた各種サイトもあります。「裁定買い残」とネット検索すると、データを見ることができます。

(2)近年は裁定買い残高1.8~2.6兆円で、短期的に日経平均反発の傾向が見られた

日経平均と裁定買い残高の推移:2013年1月4日―2016年3月2日

(出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成)

裁定買い残高が、いくらまで減ったら日経平均が反発するか、決まっているわけではありません。2.6兆円で反発することも、1.8兆円で反発することもあります。また、今後さらに、1.5兆円まで減る可能性も無いとは言えません。

裁定買い残高の変化から、投機筋の買いポジションの減少が続いていることが読み取れますが、これだけで反発点をピンポイントで当てることはできません。あくまでも参考データとしてみるべきものです。

(3)近年は裁定買い残高3.5~4.5兆円で、短期的に日経平均反落の傾向が見られた

日経平均と裁定買い残高の推移:2013年1月4日―2016年3月2日

(出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成)

裁定買い残高が、いくらまで増えたら日経平均が反落するかも、決まっているわけではありません。裁定買い残高が増えている時は、投機筋の買いポジションの増加が続いていることが読み取れます。参考データとしてみるべきものです。

(4)まだ残る不安要因

  • 原油先物への売り仕掛けが終わったとは言えない

足元、原油先物の反発が続いています。主要産油国が「増産の凍結」で合意したことが、反発のきっかけとなりました。ただし、合意が守られる保証はありません。過去には、合意を破って増産する産油国が多数見られました。

合意を破る増産が観測されると、原油先物に投機筋の売り仕掛けが復活する可能性はあります。

  • 円高が終わったとも言えない

今年、米FRBが何回追加利上げできるか、見方が割れています。市場予想では2-3回の利上げが見込まれています。世界的な株安が続き、米景気に失速の懸念が出ると、利上げはできなくなるとの見方につながり、円高(ドル安)が進みます。今は、「ミニ・リスク・オン」で円安に戻りましたが、今後「リスク・オフ」が復活して、もう一度、円高が試される可能性は残っています。

(5)ここからの日本株投資をどう考えるべきか

私は、日経平均は既に大底をつけていると考えていますが、それでも、このまま一本調子の上昇は期待できないと思います。まだ、為替や原油価格を起点として、下落する局面もあると思います。

余裕資金をお持ちの方は、業績好調で割安になった内需株から買い始めて良いと考えています。お持ちの投資資金で既にめいっぱい投資している方は、上昇局面で少し売り、下がったら買い戻すという、きめ細かな売買を検討してもよいと思います。

明日から、さらにいろいろな投資銘柄のアイディアについて、書きます。