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一時1ドル110.97円日本企業への影響は?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

一時1ドル110.97円日本企業への影響は?

2016/2/12
2月10日は1ドル113円台まで円高が進んだことが嫌気され、日経平均は372円安の15,713円となりました。11日、海外市場で円がさらに急伸し、一時110.97円をつけました(日本時間12日午前6時現在は、1ドル112.37円)。これを受けて、11日のCME日経平均先物は15,195円まで下がっています。今日の日経平均は続落して始まることが予想されます。
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2月10日は1ドル113円台まで円高が進んだことが嫌気され、日経平均は372円安の15,713円となりました。11日、海外市場で円がさらに急伸し、一時110.97円をつけました(日本時間12日午前6時現在は、1ドル112.37円)。これを受けて、11日のCME日経平均先物は15,195円まで下がっています。今日の日経平均は続落して始まることが予想されます。

(1)円高・原油安・中国株安が、日本株の下落要因に

日経平均は、円高・原油安・上海株安を受けて、1月以降、急落しています。以下のグラフをご覧ください。1月4日は上海株急落を受け、日経平均も急落しました。上海株の下げが一服した後は、原油先物の急落を受けて、日経平均も下がりました。原油先物が反発した後は、円高急伸でさらに売られています。

年初からの日経平均・上海総合株価指数・WTI原油先物(期近)・ドル円為替レートの動き:2015年12月末~2016年2月10日

中国は今週、春節(旧正月)で休暇です。株式市場も休場です。来週、春節明けの上海株がどう動くか、注目されます。

(2)円高の日本経済への影響

円高になると、外国人投資家から日本株への売りが増えます。これには、2つの理由があります。

  • 円高が日本企業の業績にマイナス影響を及ぼすことへの懸念
  • 円高が、ドル建て日経平均の下げを緩和すること

ドル円為替レートが1%円高に動いた日に、日経平均が1%下がった場合、ドル建て日経平均は横ばいとなります。ドルを円に両替して日本株に投資している外国人投資家にとって、日経平均が1%下がっても、同時に円がドルに対して1%上昇すれば、為替差益が日経平均の下落をカバーします。ドルで投資している外国人は、円高によって日経平均の下げが緩和される分、円高で日経平均が下がった後も、売りを続けやすいと言われています。

ドル建て日経平均と日経平均の動き比較:2015年末~2016年2月10日

(注:2015年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

それでは、円高が日本企業の業績に与える影響について考えます。その前に、過去3年の平均為替レートを見てみましょう。

年度別の平均為替レート:2013年度~2015年度

  2013年度 2014年度 2015年度
2016年2月11日まで
1ドル当たり 100.22円 109.91円 121.11円

(出所:楽天証券経済研究所)

過去3年、急速に円安が進んできたことがわかります。これから1ドル110円になっても、それは2014年度の平均為替レートに戻るだけです。日本企業の輸出競争力にさほど大きなマイナス影響を及ぼすことはないと思います。1ドル100円より円安水準にある限り、為替は日本企業の輸出競争力に有利に働きます【注】。

【注】ここでは、日本の輸出企業全体を平均した競争力の話をしています。競争力のない民生電機や競争力の高い自動車産業などを全部含めたトータルの競争力と考えてください。

ただし、日本企業が海外で稼ぐ利益(ドル建て)の円換算額は、円高が進むと、縮小します。たとえば、ある日本企業に、アメリカで現地生産・現地販売して1億ドルの利益をあげている子会社があるとします。現地生産・現地販売ですから、円高が進んでも競争力には影響ありません。ただし、日本で連結決算を発表する際、この子会社の利益(円換算ベース)は為替レートによって変動します。

1ドル120円の時、1億ドルの利益は120億円の利益となります。ところが、為替レートが1ドル110円になると、円に換算した利益額は110億円に減少します。

日本の輸出産業は、現地生産がかなり進んでいるので、為替の変動だけで競争力に大きな影響を受けない構造になってきています。円安が進んだからといって輸出が急に増えるわけでない一方、円高が進んだからといって輸出が急に減るわけではありません。

ただし、海外で稼いだ外貨建て利益の円換算額は、大きく変動することになります。輸出産業の為替の影響の多くが、近年は円換算額の変動から生じるようになっています。

結論として、円高が進んだからといって、1ドル100円を超える円高にならない限り、日本企業の競争力が大きく悪化することはないと思います。ただし、外貨利益の円換算額が大きく変動するため、計算上、円高は日本企業の業績に大きなマイナス影響を及ぼします。

ただし、私の計算では、1ドル110円までの円高ならば、4月から始まる来期(2017年3月期)の日本企業業績はなんとか1桁台前半の増益を維持できます。来期は、資源安メリットが日本企業の業績を押し上げると考えています。

(3)日本株は買い場か?

当面、日本株の下値模索が続くことが予想されるものの、私は長期投資では買い場と考えています。世界的な金融市場の波乱が収まれば、日本株が企業業績・配当利回りから見て割安になっていることが見直され、日経平均は上昇に転じると予想しています。ただし、為替・原油・中国株の波乱が収束するまで日本株は下げ続ける可能性があります。

最近、私とは異なる意見も出ています。資源バブル崩壊、中国バブル崩壊に、ドイツ銀行の信用不安も加わり、リーマンショック並みの金融危機が発生するとの悲観論も語られ始めています。半年から1年後には結果が出ていると思います。このテーマを来週以降も、いろいろな角度から掘り下げて分析します。

皆様から多数の貴重なご意見・ご質問をいただきながら、本欄で一部しか回答できていなくて申し訳ありません。いただいたコメントにはすべて目を通しています。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

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