先週の日経平均は、産油国と推定される売りで21日に16,017円まで売り込まれましたが、売り物が減少した22日には前日比941円高の16,958円まで急反発しました。日経平均先物を売り込んできた海外ファンドなどが、22日には買い戻しに動いたと推定されます。原油先物を売り込んできた投機筋も、同じタイミングで原油先物を買い戻したことから、WTI原油先物も急反発しました。

ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が21日の記者会見で、3月に追加緩和を行う可能性を示唆したことが投機筋の買い戻しを促しました。また、今週28・29日の金融政策決定会合で、日銀がなんらかの緩和追加策を発表するとの思惑も買い戻しを誘いました。

(1)産油国の売りがこれで一巡とはまだ考えられない

先週末のCME日経平均先物が17,230円まで上昇していることから、今週の日経平均は、上昇して始まると考えられます。先週の日経平均が短期的な底入れを示唆する「長い下ヒゲ」を出したことから、しばらく投機筋から先物への売り仕掛けは入りにくくなると考えられます。

日経平均週足:2015年1月5日―2016年1月22日

(注:楽天証券マーケットスピードより楽天証券経済研究所が作成)

ここから産油国の大口売りがもう出ないと仮定すると、日経平均は18,000円を目指して、徐々に下値を切り上げていく展開になると思われます。産油国筋の売りが出るか否か、様子見しながら、戻りを試す展開になると思います。ただし、産油国の売りが続く可能性もあります。産油国のバスケット売りが出れば、投機筋が、先物にもう一度売りを仕掛けてくる可能性も残っています。しばらく日経平均の乱高下が続きそうです。

(2)WTI原油先物の動きが重要な鍵となる

先週21・22日に、原油先物が急反発しましたが、これで原油先物が底入れしたか、まだわかりません。仮に原油先物が底入れしても、産油国の売りが今しばらく続く可能性はあります。

去年8月後半から10月初頭にかけて、産油国から日本株に巨額の売りが出ましたが、その時期と、WTI原油先物の動きを重ね合わせたのが、以下のグラフです。

WTI原油先物(期近)の動き:2015年6月1日―2016年1月22日

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

昨年8月後半から10月の頭まで、日本株に産油国と推定される売りが増えました。WTI原油先物は昨年8月26日に1バレル38.6ドルで目先の底をつけて、9月3日には46.8ドルまで反発しましたが、産油国と推定される売りは、そこから増加して、10月頭まで続きました。

1月から再び日本株に産油国と推定される売りが増えています。仮にWTI原油先物の当面の底値が1月20日の26.55ドルになるとしても、これで産油国の売りが収束するかは、わかりません。

(3)今週の注目指標

  • 日本企業の第3四半期(10-12月期)決算発表
    原油急落・中国景気減速・円高が企業業績にどのような影響を及ぼすか見極めます。
  • 1月26・27日:米国FOMC(金融政策決定会合)
    金融政策の変更はなく、相場材料とならない見込みです。ただし、足元の世界経済の現状を踏まえた上で今後の利上げをどう考えるか、何らかの示唆あると注目されます。
  • 1月28・29日:日銀金融政策決定会合
    29日の昼過ぎに結果が発表される見込みです。なんらかの緩和追加策が発表されるか否か、注目されています。
  • 1月29日:12月の日本の鉱工業生産指数
    日本の足元の生産活動の現状を確認します。
  • 1月29日:10-12月の米国GDP(速報値)
    米景気もドル高と原油安の影響を受けて減速するとの見通しが最近語られています。10-12月の米景気の状況を確認し、米景気に軟化の兆しがあるか判断します。

最近、読者の皆様から、「米景気が悪化する懸念があるがどうか?」との質問をいただいています。明日は、米景気の現状について、考えていることを書きます。よろしくお願いいたします。