大発会(1月4日)の日経平均は、前年末比▲582円の18,450円と急落しました。一時1ドル119円まで円高(ドル安)が進行したこと、上海総合株価指数が前日比▲6.9%と急落したことが嫌気されました。

4日のドイツDAX指数は、前日比▲4.3%と大幅続落しました。NYダウも、前日比▲276ドル(▲1.6%)と大幅続落しました。日中株安に加え、4日に発表された米ISM製造業景況指数が予想以上に弱かったことから一時▲450ドルまで下がりましたが、引けにかけて下落幅を縮小しました。CME日経平均先物は18,300円(4日の日経平均終値比▲150円)、為替は今朝午前6時時点で1ドル119.42円となっています。今日の日経平均は、続落が予想されます。

(1) 2016年のシナリオ別日経平均予想

昨年12月30日のレポートに、今年の日経平均予想を掲載しました。メインシナリオ(想定確率60%)・リスクシナリオ(同30%)とも、8月に調整局面を迎えることを想定しています。以下の4つの不安が絡み合って、8月ころ、調整が起こると考えました。

  • 中国景気変調のリスク
  • 資源安ショック(資源国の景気がさらに悪化するリスク)
  • 円安終焉(2016年のドル円為替レートは1ドル115-125円で推移すると予想)
  • 地政学リスク

以下が、12月30日のレポートに掲載した、シナリオ別の日経平均予想です。

2015年の日経平均週足と 2016年の日経平均予想:2015年12月末時点

(出所:楽天証券経済研究所)

(2) 円高への警戒感が高まる

今年は、年初から円高・中国不安が、株安を引き起こしました。円高・中国不安とも2016年中に起こりうるリスクに含めていましたが、いきなり年初から日経平均急落を引き起こすとは考えていませんでした。

4日に発表された中国の景気指標が良くなかったことが、円高(ドル安)が最初に進むきっかけとなりました。その後、円高を嫌気して日経平均が急落すると、日経平均急落を見て、さらに円高が進む展開となりました。4日発表のアメリカのISM製造業景況指数が弱かったことから、米景気が軟化する懸念も、出ています。

ドル円為替レートの推移:2015年10月1日―2016年1月4日

円高が進む直接のきっかけは中国の景気指標でしたが、もともと円高が進み易い環境にあったともいえます。昨年12月に米FRBが利上げを実施しましたが、利上げは織り込み済みで、円安(ドル高)は進みませんでした。材料出尽くしとなって、利上げ実施後、逆に円高(ドル安)が進んでいます。

さらに米FRBによる今年の追加利上げはかなり遅れるとの見通しが広がってきている可能性があり、ドルを売る動きにつながっています。昨日は、これに中国景気への不安も加わって円高が進みました。

日本株は、過去3年、円安進行に合わせて上昇してきました。円安トレンドが終焉したとの見方が広がると、日経平均は上値が重くなる可能性があります。

(3)中国経済への不安が蒸し返される

もう1つ、不安材料となったのが、上海総合株価指数の急落です。4日に発表された12月の財新 製造業購買担当者景気指数(PMI)が48.2と前月比0.4ポイント低下したことが嫌気されました。景況判断の分かれ目である50を下回っており、中国の景気実態は良くなさそうです。

(4)今週末発表予定の12月の米雇用統計への注目が高まる

今週末に発表される12月の米雇用統計への注目度がさらに高くなりました。4日に発表になった12月の米ISM製造業景況指数が弱かったことから、雇用統計まで弱いと、当分追加利上げはないとの見方が広がり、さらに円高が進むリスクが生じます。

米経済は基本的に堅調でしたが、ドル高と原油安を受けて、輸出産業や石油産業はダメージを受けています。米経済の現況をもう一度、再確認する必要が出ています。