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バイオ医薬品によるガン治療最前線日経平均は続落
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

バイオ医薬品によるガン治療最前線日経平均は続落

2015/12/16
15日の日経平均は、317円安の18,565円でした。イベント(米FOMCの結果発表)を16日(日本時間では17日午前4時15分)に控え、リスクポジションを減らす動きが継続しました。
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15日の日経平均は、317円安の18,565円でした。イベント(米FOMCの結果発表)を16日(日本時間では17日午前4時15分)に控え、リスクポジションを減らす動きが継続しました。イベント通過後の金融市場の動きは、明日、レポートします。

今日は、最近話題になっている小野薬品工業(4528)のガン治療薬についてコメントします。

(1)バイオ薬で日本が面目躍如、小野薬品工業(4528)のガン治療薬「オプジーボ」が肺がんにも適用拡大へ

11月30日、厚生労働省の審議会で、小野薬品が2014年7月に発売した皮膚ガン(メラノーマ)治療薬「オプジーボ」の肺がん(非小細胞肺がん)への適用拡大が了承されました。肺がんによる年間死亡者数は7万人を超えますが、その85%が非小細胞肺がんと推定されます。メラノーマに比べてはるかに大きな市場となることから、このニュースを好感して小野薬品の株価は足元急騰しています。オプジーボは、食道がん・胃がんなどへの適用拡大も視野に入れ、臨床試験が始まっており、内外で大型薬となる可能性が高まっています。

オプジーボによるガン治療は、世界のガン治療最前線を見渡しても、画期的です。「免疫強化」というこれまでとは異なる方法でガン治療に道を開くものだからです。オプジーボの海外での治験と販売は、提携先の米ブリストルマイヤーズが行っています。オプジーボがいかに有望であるか説明する前に、まず、世界のガン治療薬の開発最前線について、簡単に説明します。

(2)バイオ薬によるガン治療の主流は、ターゲット療法

ガンは、現在、残されている治療が困難な3大疾患(ガン・アレルギー性疾患・ウイルス性疾患)の1つです。20世紀のうちに、外部から体内に入る細菌(生物)が引き起こす疾患は、抗生物質など薬物を投与して、ほとんど治療可能となりました。治療が困難な3大疾患の共通点は、自身の細胞が異常行動を起こすことにより発症することです。ガン・アレルギーは、自身の細胞が異常行動するものです。ウイルス性疾患は、ウイルスが入り込んだ細胞が異常行動するものです。

外部から侵入した生物(細菌)を退治するのは、比較的容易でしたが、自身のDNAで作成された細胞が異常行動するのを治療するのは困難でした。正常細胞と病原細胞を見分けるのが難しいからです。ガンで言うと、ガン細胞と正常細胞を見分けるのが難しく、抗ガン剤が、ガン細胞だけでなく正常細胞まで攻撃するため、副作用が大きくなる問題がありました。

ところが、21世紀になり、治療可能なガンの範囲が急速に拡大しています。ガンに治療の道を開いたのが、バイオ薬です。欧米では、ガン細胞だけをターゲットとして向かっていく抗体医薬品を使ってガンを治療する方法が広がっています。ガン細胞だけをターゲットとして突き進む抗体薬に抗ガン剤を積み、ガン細胞だけ選択して攻撃することが可能になりました。ターゲット治療が進むにつれ、治療可能なガンの範囲が広がっています。

(3)日本はこれまでバイオ薬の開発では欧米に大きく出遅れ

日本でバイオ薬の開発が遅れたのには、いろいろな理由がありますが、日本のすぐれた公的医療保険を維持するために、価格が高額になるバイオ薬の推進に厚生労働省が前向きでなかったことも影響しています。バイオ医薬品は製造コストが高く、高額のバイオ薬がどんどん承認されて保険適用になると、医療保険が破綻してしまうことが心配されています。小野薬品のオプチーボによるメラノーラ治療も、現在の薬価では年間推定1000万円を超える薬剤費が必要になります。オプチーボは高額にもかかわらず、進行度の高いガン患者について日本で保険適用が認められており、その意味でも画期的です。

(4)小野薬品は現時点でガンの免疫強化治療で世界のトップランナーとなる

オプチーボの上市で、日本のガン治療薬開発も面目躍如です。欧米でのガン治療の主流はターゲット治療でした。そこで日本は決定的に遅れを取っていました。今回の小野薬のガン治療は、ターゲット治療ではなく、免疫強化治療という、新しいやり方を取ります。人間が持つ免疫作用(ガン細胞を殺傷するキラー細胞の働き)を強化するものです。この治療方法で、これまで治療不可能と思われたガン領域も治療可能になりつつあります。免疫強化療法がこれから世界中に広まるならば、小野薬はトップランナーになります。

なお、「免疫を強化したらガンが消えた」という話は、古くから日本のいろいろな場所で語られていました。その中には、宗教団体によるもの、医学的根拠の乏しいものも多く含まれていました。小野薬品は、医学的根拠のある免疫強化治療を実現したことで注目できます。ガン細胞には、人間が持つ免疫細胞(キラーT細胞)の働きを弱める作用があります。オプチーボは、その作用を阻害することで、免疫細胞の働きを活性化するものです。

(5)免疫強化治療の残された課題

楽観論ばかりも言えません。免疫強化には、これまでの薬剤にない副作用が発生するリスクもあります。バイオ薬は、全般に副作用が小さいことが特徴でした。免疫を強化することでガンを治療するバイオ薬には、これまでにはない副作用が発生するリスクもあります。また、自身の免疫作用を強化するものですから、患者によって効き目に大きな差が出る可能性もあります。価格が高いことも、引き続き大きな問題です。価格が高いままで適用拡大が進むと、医療保険財政を圧迫するので、今後、大幅な薬価引き下げが行われる可能性もあります。オプチーボの製造コストを大幅に下げていくことが、喫緊の課題となります。

(6)活躍する日本のバイオ株

小野薬品工業(4528)の他にも、中外製薬(4519)、協和発酵キリン(4151)、武田薬品工業(4502)、エーザイ(4523)、第一三共(4568)、アステラス製薬(4503)などが、バイオ医薬品の開発に積極的に注力しています。

【注】本レポートは、情報提供のみを意図したもので、医薬品各社の売買を推奨するものではありません。

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