先週の日経平均は、274円安の19,230円でした。①原油急落、②円高(ドル安)を嫌気して、外国人投資家から日経平均先物に手じまい売りが出ました。

今週の日経平均は、週初さらに大きく下がる見込みです。11日のNYダウが前日比309ドル安と下落し、CME日経平均先物が18,695円まで下落しているからです。

(1) 外国人の売買に振り回されて乱高下する日経平均

日経平均日足:2015年8月3日~12月14日

まず、8月以降の日経平均の動きを、簡単に振り返ります。

  • 8月後半-9月:世界同時株安の中で日経平均も急落

日本株を強引に売り崩したのは外国人投資家です。原油急落によって原油収入が不足するのを補うために中東産油国が世界の株式を売ったことがわかっています。さらに、中国経済への不安、米FRBが9月にも利上げを実施するという不安から、海外のヘッジファンドもリスク・ポジションを縮小するために世界の株を売りました。世界中の株が同時に急落した中で、リーマン・ショックのような世界景気後退が起こるという不安も語られました。

  • 10月~11月:世界的に株が反発する中で、日経平均も反発

産油国の日本株売りは一巡しました。原油価格が一旦反発し、産油国の売りへの警戒は薄れました。米FRBは9-10月の利上げを見送りました。中国や資源国の景気は悪化しているものの、世界不況が始まるわけではなく、過剰な悲観は修正されました。ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁が12月にも追加緩和を行うことを明言しており、金融緩和への期待が欧州株を上昇させました。そうした環境下で、外国人投資家が日本株を買い越し、日経平均は上昇しました。

  • 12月:世界の株式が反落する中で、日経平均も反落

ECBは追加緩和を実施しましたが、内容が市場の期待を下回り、失望されました。原油が再び急落し、産油国の景気が一段と悪化する不安が広がりました。12月15-16日の米FOMC(金融政策決定会合)で9年半ぶりの利上げが予想されていますが、イベントが近づくにつれ、リスク・ポジションを縮小する動きがヘッジファンドなどに広がり、世界的に株が反落しています。利上げというイベント後に、(ドル買い)材料が出尽くしになるとの思惑から、為替市場では、ドルの買い持ちを縮小する動きが出て、やや円高(ドル安)が進みました。円高進行が、日本株をさらに売る材料となりました。

(2)NYダウもイベント(米FOMC)後の金融市場への不安から軟調に

NYダウ日足:2015年8月3日~12月14日

NYダウも足元は、軟調に推移しています。米FOMC後の世界の金融市場の動きが読めないことから、リスクを落とす動きが出てきています。FOMCで0.25%の利上げが実施されるとして、次に起こることとして、以下の2つが考えられます。

  • 材料(米利上げへの不安)出尽くしで、世界的に株が上昇する
  • 来年、利上げが続くことへの不安から、世界的に株の下げが加速する

鍵を握るのは、FOMC後のイエレン議長の記者会見での発言です。私は、メイン・シナリオとして、米利上げショックが世界に広がるのを避けるため、イエレン議長はハト派トーン(追加利上げは当分ない)で発言すると想定しています。そうなると、世界の金融市場は米金利がどんどん上昇していくという不安から解放され、世界の株は反発することになります。

ただし、リスクシナリオとして、来年以降の追加利上げ時期に対して、イエレン議長が何の示唆も与えない可能性もあります。その場合は、早期追加利上げの思惑も残るため、世界の金融市場は、年内、不安定な動きが続くことになります。

今週16日(水曜日)、日本時間では17日(木曜日)早朝に発表されるFOMC結果と、その後の株・為替の反応に、今週は注目していきたいと思います。

(3)イベント後の日本株の反応は急騰も急落もありうる

今週は週初、日経平均は下落が予想されます。それでは、週後半、イベント(米FOMC)後の、日経平均はどう動くでしょうか?米利上げが実施されるとして、イベント後の日経平均は、急騰も急落もありえます。外国人投資家が、欧米株式や為替の動きに反応して、日本株をさらに売るか、買い戻すかによって、日本株の動きは決まります。

イベント後の短期的な反応を予想するのは、正直、難しいところです。ただ、日本の景気・企業業績の回復は続くと考えていますので、もし日経平均がさらに下げる場合は、積極的に日本株を買っていく好機になると思います。短期的な株価変動で右往左往せず、安くなったときに買い増しし、どんどん上がっていく時は少しずつ利益確定する方針を続けていくことでいいと思います。