10日の日経平均は、254円安の19,046円でした。来週15・16日に、米FOMC(金融政策決定会合)という一大イベントを控え、為替がやや円高(ドル安)に動き、それに応じて日経平均先物にも手仕舞い売りが出ました。

日本の景気・企業業績の回復トレンドは変わらないので、日経平均は買い場との判断を継続します。今日は、今週日経平均が下がることになった要因を振り返ります。

(1)日経平均は節目として意識される2万円で一旦打ち返された形に

日経平均週足:2015年1月5日~12月10日

1月から上昇を続けてきた日経平均は5月には2万円近くで上値が重くなりました。この時、2万円は上値抵抗線として意識されていました。9月の急落で一時17,000円割れまで売られた日経平均は、11月の反発で再び2万円に近づきましたが、2万円が近づくと再び上値が重くなりました。2万円が再度上値抵抗線として意識されるようになっていました。12月に入り、日経平均は2万円で一旦打ち返されて下がった形になりました。

(2)今週は、外国人投資家が日経平均先物を売った模様

今週は、海外に不安材料が増えたことを受けて、外国人投資家が日本株の買いポジションを減らしたと考えられます。売りのきっかけとなったのは、以下の2点です。

  • 原油価格が再び急落

    原油先物が安値を更新し、金融市場の不安材料となりました。原油など資源価格が年末にかけて全面安となってきたことから、資源高の恩恵を受けて成長してきたブラジル・ロシア・メキシコ・マレーシアなど新興国の景気が一段と冷え込む懸念が出ています。資源安の恩恵を受ける欧米でも短期的にはマイナス効果が先行する可能性があります。たとえば米国では、短期的にシェールガス・オイル業者の破綻が増える懸念があります。

    原油安が長期化すると、原油収入の減少を補うために、サウジアラビアなど産油国が保有する世界の金融資産を売却する懸念が生じます。8-9月には、中東産油国から世界の株式に巨額の売りが出たことがわかっています。ただし今週、中東産油国の日本株売りが出ているとは考えていません。今週、日経平均先物を売ったのは、足の早い海外ヘッジファンドであると推定しています。

    ニューヨークWTI原油先物(期近)推移:2014年4月1日~2015年12月9日

  • 来週15・16日に米FOMCを控え、為替市場でやや円高(ドル安)が進んだこと

    来週16日(日本時間では17日午前4時15分)に、米FOMCの結果が発表されます。9年半ぶりの利上げが予想されています。ゼロ金利政策に終止符が打たれる見込みです。予想通りに利上げが発表された場合に、金融市場にどういう反応が起こるか、見方が分かれています。

    アメリカの短期金利が上がるわけですから、普通に考えると、ドル高(円安)が進むことになります。ただし、そうならない可能性もあります。米FRBのイエレン議長は、長い時間かけて「2015年中に利上げを実施することが適切」という考えを市場に伝えてきました。そのため実際に利上げがあった場合には、材料出尽くしで、ドル安(円高)が進むという見方もあります。

    鍵を握るのは、FOMC結果発表後のイエレン議長による発言です。来年以降、早い時期に追加利上げが必要というトーンで話しをするならば、ドル高(円安)が進む材料となる可能性があります。ところが、追加利上げは当分ないというトーンで話すと、材料出尽くしでドル安(円高)が進む可能性もあります。

    来週にFOMCを控え、昨日はドルの買い持ち高を減少させる動きが出て、為替がやや円高にふれました。為替が円高に動くのを見て、日経平均先物にも売りが出ました。

    ドル円為替レートの推移:2015年10月1日~12月9日