9日の日経平均は、前日比377円高の19,642円でした。世界景気への過剰な悲観が修正され、世界的に株が買い戻される流れが続いていますが、日本株もその流れの中で、徐々に反発色を強めつつあります。

終盤に入った9月中間決算発表では、ネガティブ・サプライズ(悪くて驚き)とポジティブ・サプライズ(良くて驚き)が入り混じっています。総括すると今期は二桁増益が見込めそうであり、日本の景気・企業業績の増加トレンドは変わっていないと言えます。

(1)主要企業689社では、今期(2016年3月期)二桁の経常増益を見込む

 

東証1部上場3月期決算主要689社の今期(2016年3月期)経常増減益率(会社予想ベース)

  全産業689社 主要650社(除く金融) 金融39社
11月6日時点 +10.5% +12.4% ▲3.2%
9月26日時点 +10.1% +12.2% ▲4.4%

(注:楽天証券経済研究所が作成)

9月中間決算発表時には、通期見通しの上・下方修正の発表がたくさんありました。ただし、トータルすると、上方修正と下方修正が均衡しています。全689社で見ると、今期経常増益率は、9月26日時点(中間決算発表前:+10.1%)と11月6日時点(発表終盤:+10.5%)で、わずか0.4%しか変化していません。

(2)個別銘柄では、上・下方修正が多数発表されている

9月26日時点の通期(2016年3月期)経常利益予想と、11月6日時点の予想を比較して、修正率の大きいものを挙げたのが、以下です(時価総額9000億円以上が対象)。

 

通期経常利益(会社予想)上方修正率の上位20社(東証一部上場3月期決算企業の時価総額9000億円以上が対象)

(金額単位:億円)

  コード 銘柄名 9月28日時点 11月6日時点 修正率
1 9502 中部電力 1,300 2,000 53.8%
2 1801 大成建設 620 830 33.9%
3 9531 東京瓦斯 1,340 1,620 20.9%
4 4508 田辺三菱製薬 670 810 20.9%
5 9201 日本航空 1,690 2,020 19.5%
6 9042 阪急阪神HLDG 840 1,000 19.0%
7 1925 大和ハウス工業 1,920 2,280 18.8%
8 9532 大阪瓦斯 1,100 1,300 18.2%
9 8035 東京エレクトロン 950 1,060 11.6%
10 4188 三菱ケミカルHLDG 2,140 2,370 10.7%
11 4507 塩野義製薬 795 880 10.7%
12 8802 三菱地所 1,130 1,250 10.6%
13 7270 富士重工業 4,950 5,470 10.5%
14 6981 村田製作所 2,520 2,760 9.5%
15 6586 マキタ 530 580 9.4%
16 5333 日本碍子 690 745 8.0%
17 4528 小野薬品工業 165 178 7.9%
18 7261 マツダ 2,150 2,300 7.0%
19 9022 東海旅客鉄道 4,450 4,750 6.7%
20 9021 西日本旅客鉄道 1,435 1,530 6.6%

(注:楽天証券経済研究所が作成)

内需関連(電力・ガス・建設・電鉄など)、米国関連(自動車・スマホ関連など)株に利益が上ぶれるものが多く見られます。一方、以下の通り、中国関連・資源関連株には、下方修正が増えています。

(注:楽天証券経済研究所が作成)

  コード 銘柄名 9月28日時点 11月6日時点 修正率
1 5020 JXホールディングス 3,100 1,500 -51.6%
2 6971 京セラ 1,840 1,400 -23.9%
3 6645 オムロン 890 710 -20.2%
4 7752 リコー 1,350 1,110 -17.8%
5 8729 ソニーフィナンシャルホールディングス 850 720 -15.3%
6 8015 豊田通商 1,580 1,390 -12.0%
7 7259 アイシン精機 2,150 1,900 -11.6%
8 8002 丸紅 2,500 2,300 -8.0%
9 6902 デンソー 4,140 3,830 -7.5%
10 4612 日本ペイントホールディングス 765 730 -4.6%

(金額単位:億円)

通期経常利益(会社予想)下方修正率の上位10社(東証一部上場3月期決算企業の時価総額9000億円以上が対象)