世界的に株価が反発局面を迎えています。「リスク・オフ」局面は終了しつつあると思います。世界景気が減速しつつあることは変わりませんが、減速しつつも成長は続いており、一時広がった「世界景気後退のリスク」は低そうです。そこで、世界的に金融緩和が長期化する見込みとなったことを好感して、株などリスク資産が買い戻されつつあります。

ただし、先週末のCME日経平均先物は、NYダウが高値警戒感から下げたのを受け18,880円まで下がっています。日経平均は、今週も一進一退を繰り返しつつ、少しずつ下値を切り上げる展開と予想します。

(1)先週のNYダウは高値でもみ合い

先週のNYダウは、高値圏でもみあいとなりました。27・28日に行われたFOMC(金融政策決定会合)でFRB(中央銀行)が利上げを見送ったことは、事前の市場予想通りですが、世界的な株の反発にプラス材料となりました。ただし、FOMC声明文で「12月の利上げ実施」を示唆したことから、利上げへの警戒も残る展開となりました。

NYダウ週足:2014年1月4日~2015年10月30日

(2)日経平均は19,000円台の値固め

日経平均も、同様に反発しつつあります。NYダウと比べるとまだ戻りが鈍いものの、今後、反発色が徐々に強まると見ています。

日経平均週足:2014年1月4日~2015年10月30日

先週30日の日銀金融政策決定会合では、追加の金融緩和はありませんでした。「追加緩和なし」が発表された30日昼過ぎに、日経平均は下落、為替市場では円高(ドル安)が進みましたが、すぐに切り返して、日経平均は上昇、為替は1ドル121円前後の水準に戻りました。金融市場関係者の間では、「10月の追加緩和は見送ったが、いずれ追加緩和の実施に追い込まれる」との見方が根強く残っています。10月の追加緩和は見送りでも、失望は広がりませんでした。

なお、30日に発表された9月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコア指数)は、前年比▲0.1%でした。日銀がターゲットとしている2%インフレとは程遠い状態にあります。30日に日銀が発表した展望レポートでは、2%インフレが達成される時期について、日銀は「16年度後半」と延期しています。

結局、先週の日米金融政策決定会合はまとめると、

  • アメリカは利上げを見送ったが12月利上げの見方が継続しました。
  • 日銀は追加緩和を見送ったが先行き追加緩和に追い込まれるとの見方が残りました。

(3)発表中の9月中間決算では好悪材料が混在

中国関連株でネガティブ・サプライズとなる業績予想の引き下げが相次いでいます。一方、内需関連株・米国関連株には、業績予想の上方修正が増えています。現在のマクロ環境を見ると、日本企業に強い追い風と向かい風が両方吹いている状態です。中国景気の減速が、予想以上に大きなマイナス影響を日本企業にも及ぼしている一方、円安・米景気好調の恩恵が、日本企業の業績を押し上げています。

日本企業の業績回復力は、当初期待と比べると、やや弱まっていますが、それでも業績回復トレンドは継続しているといって良い状態だと思います。