日本時間で今朝3時に、10月の米FOMC(金融政策決定会合)の結果が発表されました。事前の予想通り、利上げは見送られました。ただし、FOMC声明文を読むと、年内の利上げ実施に、含みを持たせた表現が盛り込まれています。今年のFOMCは、12月15・16日に開催されるものが最後になります。12月に利上げが実施される可能性を残したままとなりました。

(1) FOMC結果は事前予想通り

利上げ見送り自体は、市場予想通りで、サプライズ(驚き)はありません。市場が注目していたのは、その後の声明文です。2つの可能性がありました。

  • 世界景気減速や金融市場の混乱に強い懸念を示し、米景気にも減速の兆しがあるという判断を示すケース
    その場合、金融市場では「米FRB(中央銀行)は年内利上げが難しいと考えている」という解釈が広がります。
  • 世界景気の減速は深刻ではなく、世界の金融市場も落ち着きつつあるという解釈を述べるケース
    その場合、金融市場では「米FRBは12月利上げを示唆している」と判断されます。

今回の声明文は、上記の②でした。世界の金融市場が混乱していることに配慮し、10月の利上げは見送りましたが、金融市場の混乱は徐々に収束しつつあり、12月には利上げを実施できる環境になる可能性が高いという考えが盛り込まれました。

(2)FOMC結果を受けた株・為替の動き

ややタカ派(利上げに積極的)ととれる米FOMC声明文を受け、12月に利上げが実施されるとの思惑が広がり、為替はややドル高(円安)に動きました。今朝5時20分時点で、1ドル121.02円と、前日比で1円弱、円安方向に動きました。

NYダウは、前日比198ドル高の17,779ドルと上昇しました。米景気は、「10月に利上げしなければならない程強くはないが、12月の利上げが難しくなる程弱くもない」。つまり、強すぎず弱すぎず、株式市場にとって、居心地の良い景況となっています。

円安とNYダウの上昇を受け、28日のCME日経平均先物は19,180円まで上昇しています。今日の日経平均は、再び19,000円台に乗せる可能性があります。

(3)発表中の9月中間決算はまちまち

全体として好調な業績発表が続いています。ただし、事前予想通り、中国経済悪化の影響を受ける「中国関連株」には、業績予想を下方修正する銘柄が増えています。

(4)今週は、注目材料の発表がまだ続く

今朝8時50分に、日本では9月の鉱工業生産指数が発表されます。7・8月と2ヶ月続けて前月比マイナスで、生産に停滞色が強まっています。9月もマイナスが続くと考えられています。

今日NYでは、7-9月期のGDP速報値が発表されます。「強すぎず、弱すぎない」米景気の現状を示すと考えられています。

明日(10月30日)の注目材料は、なんと言っても、日銀の金融政策決定会合です。「日銀」との声が増えていたため、政策変更なしでも、大きなサプライズ(驚き)にはなりません。たとえ小規模でも、なんらかの追加緩和を実施すれば、日本株に好影響を及ぼすと考えています。