株式投資の代表的スタイルは、2つあります。1つは成長株投資、もう1つは割安株投資です。読者の皆様は、どちらのスタイルに近い方ですか?

(1)日本株ファンドマネージャー時代の投資スタイル

私は、25年の日本株ファンドマネージャー経験があります。投資信託・年金などで、常時1000~2000億円のファンド運用を担当していました。

私は、主に割安株への投資で、ベンチマーク(競争相手)である東証株価指数(TOPIX)を大きく上回るパフォーマンスを上げてきました。割安株をコアとして長期保有しながら、成長株で短期売買を繰り返しつつ、鞘をかせぐことを目指していました。

株式投資の初心者の方は、まず割安株投資から開始した方が良いと思っています。配当利回りの高い大型株が、最初の候補となります。小型成長株に投資する場合は、企業内容をよく知っているものから始めるべきです。小型成長株には値動きの荒いものが多く、売買タイミングが難しい場合があります。

(2)割安な成長株はなかなか存在しない

もし、成長性が高く、株価が割安な銘柄があれば、それは、成長株投資家も、割安株投資家も、どちらも投資したいと思うでしょう。ところが、割安な成長株はなかなか存在しません。成長性の高い株は、往々にして人気が高く、株価の割安度をはかる代表的な指標であるPER(株価収益率)が30倍~40倍など、高い水準にあることが多いです。

一方、PERで10倍前後など割安な銘柄には、成長性が低い、業績になんらかの不安があるなど問題を抱えている銘柄が多くなっています。

そこで、良い投資銘柄を見つける方法は、2つあります。

  • 成長株投資を重視するファンドマネージャー
    まず、成長性の高い銘柄を探し、その中から株価がなるべく割安なものを選別します。
  • 割安株投資を重視するファンドマネ-ジャー
    まず、株価が割安な銘柄を探し、その中から、なるべく成長性の高いものを選びます。

割安な成長株がなかなか見つけられないことから、成長株投資マネージャーのポートフォリオには、PERが高い、配当利回りが低い銘柄が多くなります。一方、割安株投資マネージャーのポートフォリオには、あまり成長性の高くない割安な銘柄が多くなります。

(3)株価が割安な銘柄を選ぶことで、投資リスクをある程度抑えられる

将来のパフォーマンスには、一般的に以下の関係があります。

  • 割安な不人気株→予想外に高い成長性を実現すれば→株価は大きく上昇
  • 割安な不人気株→成長性が低ければ→株価は低迷
  • 割高な人気成長株→期待通り成長性が高ければ→株価はそこそこ上昇
  • 割高な人気成長株→成長ストーリーが崩壊すると→株価は大きく下落

ここで、一番避けたいのは、④です。私は、割高な成長株は短期投資と割り切っていましたので、みんなが熱狂する株を一緒に買いに行く時は、「株価が下がったらすばやく損切り」を念頭においていました。

(4)保有銘柄見直しのお薦め

私は、日経平均は割安で先行き上昇を予想しています。ただし、皆様が保有されている銘柄がすべて同じように上昇するわけではありません。保有銘柄の見直しをすることをお薦めします。もし、PERが高く、配当利回りが低い人気株ばかり保有している場合は、一部、割安株にも分散投資することをお薦めします。「安かろう悪かろう」銘柄ではなく、まずは「割安な大型優良株」を選ぶことが必要です。どんな銘柄が良いか、この欄で今後も、いろいろ紹介していきたいと思います。