今週から、9月中間決算の発表が増えます。マクロ環境に不安材料が増えている中での発表で、決算内容が想定以上に悪ければ、日経平均が改めて売られる要因となります。一方、決算内容が全般に良好ならば日本株見直しにつながります。

もう1つ、株式市場参加者にとって、重大な関心事があります。日米の金融政策の方向性を見極めることです。10月27・28日の米FOMC(金融政策決定会合)、10月30日の日本銀行の金融政策決定会合への注目度が高まっています。

(1)日経平均は18,000円台の値固め

先週の日経平均は一時18,000円を割れましたが、下げたところでは国内投資家から押し目買いが増え、先週末には18,291円まで戻しました。

日経平均週足:2014年1月4日~2015年10月16日

今週も、日経平均は18,000円台の値固めが続くと考えます。9月決算の内容と、日米金融政策への思惑を材料に、動く週になると思います。

(2)日米欧とも、原油価格下落の影響でインフレ率が低下

日米独の消費者物価上昇率(総合指数、前年比):2014年1月から日本は2015年8月まで、米独は9月まで

(注:日本の2014年4月―2015年3月までは消費増税の影響を除くベース、
ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

エネルギー・生鮮食品を含む総合指数で見たインフレ率は、日本が0.2%(8月)、米国とドイツは0%(9月)まで低下しています。エネルギー価格低下の影響が大きいです。これを見る限りは、米国も金融引き締めを行うべきでないように思われます。

(3)日米の中央銀行が政策目標としているインフレ率

日米の消費者物価指数上昇率(前年比):日本は2015年8月、米国は9月

(出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

日本の金融政策を決める日本銀行は、生鮮食品を除く(エネルギーを含む)コア指数によって、金融政策を決めます。それは、8月現在で、前年比▲0.1%です。日銀が目標としている+2%と大きく乖離しているため、日銀による追加緩和が必要になるとの見方が市場に広がっています。10月30日の金融政策決定会合で、どのような判断をするか注目されています。

一方、米国の金融政策を決めるFRBは、エネルギー・食品を除くコア指数によって、金融政策を決めます。それは、9月時点で前年比+1.9%です。「インフレターゲットの2%に近づいていることから年内に利上げを実施することが適切」というのが、米FRBの見解です。ただし、世界景気減速と、世界的な株の下落を受けて、9月は利上げを見送りました。

年内利上げの可能性が減少したと見なされて、欧米では、長期金利が低下しました。

米国・英国・ドイツ・日本の長期金利推移:2014年1月1日~2015年10月15日

(出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

米FOMC(金融政策決定会合)は、年内にあと2回(10月27・28日と、12月15・16日)あります。まず、10月のFOMCでどのような判断をするかが注目されます。