日本株の物色動向にやや変化が見られます。景気敏感株が反発し始めています。一方、これまで相対的に値持ちの良かったディフェンシブ(景気の影響が相対的に低い)株には値下がりが目立つようになってきました。これは、日本および世界景気への過剰な悲観が修正される最初の動きと見ています。今週の日経平均は、徐々に下値を切り上げる展開と予想しています。注目の7-9月決算発表がこれから始まるところであり、決算内容を見極めるまでは一本調子の上昇にはならないと考えます。ジリジリと下値を切り上げる展開かと思います。

(1)9日金曜日の業種別上昇率

9日の日経平均は、297円(1.6%)高の18,483円でした。業種別の動きにこれまでにない特色が出ています。

東証33業種上昇率上位10業種:10月9日

No 業種名 上昇率 主要企業の特徴 景気敏感度
1 鉄鋼 5.1% 素材
2 非鉄金属 4.8% 素材
3 建設業 4.3% 内需
4 鉱業 3.5% 資源
5 倉庫運輸 3.5% 内需
6 紙パルプ 3.3% 素材
7 ゴム製品 3.3% 輸出(タイヤ等)
8 卸売業 3.1% 資源(総合商社)
9 機械 3.1% 設備投資関連
10 輸送用機器 3.0% 輸出(自動車等)

東証33業種で下落または上昇率の低い4業種:10月9日

No 業種名 上昇率 主要企業の特徴 景気敏感度
1 空運業 -0.6% 内外需
2 小売業 -0.2% 内需
3 サービス業 0.8% 内需
4 陸運業 1.3% 内需(電鉄等)

(出所:東京証券取引所、景気敏感度の判断は楽天証券経済研究所)

これまで、景気敏感セクターに属する銘柄群は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)がいくら低くて割安に見えても、上値の重い展開が続いていました。一方、内需ディフェンシブ(景気の影響を受けにくい、景気敏感度が低い)銘柄群は、PERやPBRがかなり高くて割高に見えても、繰り返し買われて、高値を取り続けていました。最近、それと逆の物色が見られるようになっています。

もちろん、これが一時的なリターン・リバーサル(上昇したものが売られ、下落したものが買われる現象)の可能性もあります。9月中間決算の内容次第で、今の株価の動きが正当化できるかどうか決まるでしょう。ただ、私は、日頃、企業の調査をしながら、「景気敏感株は売られ過ぎ」「内需ディフェンシブ株は買われ過ぎ」という感触を持っていますので、今の値動きに違和感はありません。

これから始まる9月中間決算発表では、「中国関連」「資源関連」株に業績の伸びが鈍化するものが目立つでしょう。ただし、これらの景気敏感株には、株価が株価指標で見て非常に安いものが多くなっています。たとえばPER10倍割れ、PBR1倍割れの銘柄が、たくさんあります。業績の悪化度合いがさほど大きくなければ、決算発表と同時に過剰な悲観の修正として、株価が上昇する可能性があります。鉄鋼・非鉄・機械・自動車・電機などにその候補銘柄が多数あります。

(2)保有銘柄の見直し

余裕資金のある方は、日本株を買い増ししてよいと思います。株を既にたくさんお持ちの方は、保有銘柄の見直しをした方がいいと思います。もし、PERやPBRが高いディフェンシブ銘柄ばかりお持ちの方がいらっしゃいましたら、一部、PER10倍前後の、株価指標で見て割安な景気敏感株に乗り換えてもよいと考えています。

また、小型株ばかりお持ちの方は、一部、株価が大きく下がった大型優良株に乗り換えてもよいと、考えています。