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原油反発が日本株に及ぼす影響
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

原油反発が日本株に及ぼす影響

2015/10/9
8日の日経平均は181円安の18,141円でした。これから発表が始まる7-9月の企業業績を確認するまでは、積極的に上値を追いにくいムードが広がっています。
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8日の日経平均は181円安の18,141円でした。これから発表が始まる7-9月の企業業績を確認するまでは、積極的に上値を追いにくいムードが広がっています。最近、原油価格が反発していますが、これは、日本株および世界の株価に好影響を及ぼします。今日は、原油価格が日本株に及ぼす影響について書きます。

(1)原油価格が足元、反発

WTI原油先物(期近)の推移:2014年4月~2015年10月7日

(出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定)

最近、原油価格の反発が続いています。アメリカのシェールオイルの生産減少が続く見込みとなったからです。まず、昨年からの原油価格の動きを簡単におさらいします。

  • 2014年8月-2015年3月:アメリカのシェールオイル増産によって原油が世界的に供給過剰となり、原油価格が急落
  • 2015年4月-6月:アメリカのシェールオイルが減産に向かい始めたことから原油価格が反発
  • 2015年7月-8月:中東など産油国で原油増産が続いたために再び原油過剰感が強まり、原油価格が下落
  • 2015年9月-10月:シェールオイルの新規開発が大きく減少した効果で、シェールオイルの生産減少が続く見通しとなり、原油価格が反発

(2)原油価格が日本株に与える影響:需給面

原油価格の下落が8~9月に、日本および世界の株の下落を加速させました。中東産油国は、原油価格下落による原油収入の減少を補うために、保有する金融資産を売却して原油収入を補う行動に出たと推定されます。日本株にも中東産油国から巨額の売りが入り、日本株を下落させました。

9月以降、原油価格は少し反発してきました。これで、産油国の金融資産売却には一旦、歯止めがかかると予想されます。売られ過ぎた日本株および欧米株が反発しているのは、産油国筋の売りが減少しているためと私は見ています。

(3)原油価格が日本経済に与える影響:ファンダメンタル面

日本はエネルギー資源を輸入に依存しています。東日本大震災以降、火力発電燃料の輸入増加で、貿易収支は赤字に転落しました。原油価格の急落は、日本経済復活に大きな追い風となります。原油だけでなく、天然ガス・石炭・鉄鉱石・銅・レアメタルなど、日本が輸入する天然資源価格は、ほぼ全面安となっています。これは2016年の日本経済の回復力を強める要因になると考えています。

ところが、原油価格が急落した恩恵は、日本経済にはすぐにはあらわません。原油価格急落直後は、むしろマイナス効果が先行します。長期的には原油下落は日本経済にプラスであるにもかかわらず、短期的にはマイナス効果だけが目立つのです。この現象を、欧米では「逆オイルショック」と呼びます。

日本で「逆オイルショック」が起こるのは、以下の理由によります。

  • 高値在庫があるので原油下落の恩恵はすぐには表れない

    日本の石油精製会社には、70日の原油戦略備蓄が義務づけられています。したがって、原油価格下落直後は、高値在庫から発生する「在庫評価損」が企業業績を悪化させます。石油精製会社だけでなく、石油由来の原材料や製品在庫は、日本の化学会社などに幅広く存在します。今年さらに価格が下がったのは、原油だけでなく、日本が在庫を持つ天然資源全般です。これから始まる9月中間決算の発表では、「在庫評価損」が石油精製・石油化学・非鉄精錬・鉄鋼などの業種で、業績を悪化させる要因となる可能性があります。足元、原油価格を含め、資源価格が世界的に反発しています。これは、今期の日本企業の業績にはプラスに響きます。「在庫評価損」の発生額がその分小さくなるからです。

  • 資源国の景気悪化が、資源国でビジネスを行う日本企業の業績悪化につながる

    ブラジルやロシア、マレーシアなど、資源国の景気悪化が続いています。日本企業は、世界で幅広く事業を展開しています。プラント建設・資源開発関連の業種で、業績を悪化させる要因となります。

結論として、今年、原油や天然資源がさらに大きく下がったプラス効果は、2016年以降に顕在化する見込みです。これから始まる9月中間決算では、マイナス効果が先に出ることに警戒が必要です。

(4)ガソリン価格の下落は消費に好影響を及ぼす

原油下落で最終的に恩恵を受けるのは、世界中の消費者です。特に、アメリカは自動車社会なので、ガソリン価格の変動が消費者の可処分所得に大きな影響を与えます。今アメリカでは、ガソリン急落で、消費者が臨時ボーナスをもらったような状態にあり、消費拡大に寄与しています。

ただし、原油価格の下落ピッチが速いので、アメリカでも、短期的にはシェールオイル採掘業者の破綻が増えるなどのネガティブな面もあります。

日本の消費にも、ガソリン価格の下落はプラスです。ただし、その効果はすぐには表れていません。日本では円安によって食料品価格が上昇しており、それが消費にマイナスの影響を及ぼしている模様で、消費回復には勢いがありません。

日本国内レギュラーガソリンの店頭小売価格(消費税込み)全国平均の推移:2012年12月末~2015年10月5日

(出所:資源エネルギー庁)

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