外国人投資家の日本株売りが続いています。29日の日経平均は714円安の16,930円と急落して17,000円を割れました。日経平均は既に売られ過ぎと判断しています。外国人投資家の強引な売りで下げが大きくなった分、外国人の売りが止まった時の日経平均の反発余地も大きくなってきたと、予想しています。

(1)オイルダラーの売りが続いている可能性も

9月28日付、英フィナンシャルタイムズ紙報道によると、サウジアラビア通貨庁(SAMA)は、原油安に伴う財政赤字の拡大に対処するため、海外の資産運用会社に委託していた運用資産から、これまでに最大730億ドル(約8兆7600億円)を引き出した模様です。オイルダラーによる換金売りは、日本株にも出ているようです。私も、複数ソースから、オイルダラーによる日本株売りが続いているという情報を得ています。

私は、先週で、こうしたオイルダラーによる強引な売りは一巡すると見ていました。今週、日経平均が自律反発すると予想したのは、外国人の売りが減少する中で国内投資家の押し目買いが活発化すると考えたからです。

ところが、昨日の日経平均急落を見る限り、オイルダラーの強引な売りはまだ続いているようです。出来高がやや細ってきた中で、大型株に大口の売りバスケットを出してきていると考えられるため、今週の日経平均は、予想以上の急落となりました。

ただし、強引な売りによって大きく下げた分、オイルダラーによる売りが終わった時の、日本株の反発余地は大きくなっていると考えています。

(2)今回の急落では外国人投資家が現物・先物あわせて5兆円も日本株を売り越し

8月中は、動きの速い海外マネーが、先物を中心に日本株を売ったと考えられます。9月に入り、外国人による先物売りは減少しましたが、代わってオイルダラーなどによる現物のバスケット売りが出てきていると推定されます。

外国人投資家の日本株および日経平均先物売買動向(売買代金差額):2015年8月10日~9月18日

(単位:億円)

  8月10-14日 17-21日 24-28日 8月31-9月4日 9月7-11日 14-18日 合計
株式現物 ▲ 2,987 ▲ 3,896 ▲ 7,264 ▲ 4,728 ▲ 10,443 ▲ 7,846 ▲ 37,164
日経平均先物 ▲ 2,710 ▲ 5,174 ▲ 7,633 3,760 ▲ 734 ▲ 497 ▲ 12,988
合計 ▲ 5,697 ▲ 9,070 ▲ 14,897 ▲ 968 ▲ 11,177 ▲ 8,343 ▲ 50,152

(注:日本取引所グループのデータより楽天証券経済研究所が作成。▲は売り越しを示す)

外国人投資家が大量に日本株を売っている間、日本株を買い越しているのは、国内投資家で、主な内訳は以下の通りです。

日本株および日経平均先物の主体別売買動向(売買代金差額の合計):8月10日―9月18日

(単位:億円)

投資主体 8月10-14日 17-21日 24-28日 8月31-9月4日 9月7-11日 14-18日 合計
外国人 ▲ 5,697 ▲ 9,070 ▲ 14,897 ▲ 968 ▲ 11,177 ▲ 8,343 ▲ 50,152
個人 714 4,049 4,089 2,935 ▲ 693 770 11,864
信託銀行 701 789 5,151 1,541 3,217 700 12,099
事業法人 904 1,757 116 32 896 5,323 9,028
投資信託 947 2,373 7,682 ▲ 1,215 2,159 701 12,647
生・損保 10 53 80 ▲ 14 ▲ 64 ▲ 69 ▲ 4
都・地銀 ▲ 66 ▲ 183 ▲ 337 ▲ 47 639 ▲ 318 ▲ 312

外国人が5兆円売り越している間、個人投資家が1兆1864億円、信託銀行(主に公的年金)が1兆2099億円、事業法人(自社株買いなど)が9028億円、投資信託が1兆2647億円、買い越しています。投資信託を買っているのは、主に個人投資家と考えられます。現物と投資信託を合計すると、個人投資家は2.4兆円あまり日本株を買い越していると推定されます。