今、日本株は良い買い場を迎えていると判断しています。余裕資金があれば、日本株の買い増しを検討したらいいと考えます。また、保有を続けている銘柄についても、この機会に見直しすることをお薦めします。今日は、私がファンドマネージャー時代に実施していた保有銘柄の見直し方法をご紹介します。

(1)下落率の小さい業績が冴えない銘柄を売り、下落率の大きい大型優良株を買う好機

今のように、日本株が暴落して、そろそろ売りのクライマックス(最終局面)と判断した時、私がファンドマネージャー時代には、やるべきことが2つありました。

  • キャッシュを保有しているファンドで、日本株を買い増しする。
  • 下落率が低い業績のさえない銘柄を売り、下落率が大きい大型優良株を買う。

読者の皆様も、上記①②を検討してみたら良いかと、思います。

(2)日経平均急落局面では、大型優良株が急落する傾向がある

今回のように外国人投資家が、急いで日本株を大量に売ろうとする時は、特に流動性を重視して売却銘柄を決めます。したがって、日経平均先物や大型優良株が集中的に売られる傾向があります。業績が好調でも、過剰に売られる大型優良株が出てくるのは、こういう時です。

一方、中小型株には、業績がさえなくても、日経平均急落局面で大きく下がらないものがあります。まず、外国人投資家があまり保有していない中小型株は売りがあまり出ません。また、外国人投資家が保有している中小型株でも、流動性が低いものは、急いで売ることができないので、売りを後回しにすることがあります。

もし皆様が、下落率の低い業績のさえない中小型株をお持ちでしたら、この機会に売却して、下落率の大きい大型優良株に乗り換えることが得策かと思います。

以下、ご参考までに、楽天証券スーパースクリーナーを使い、8月10日以降の株価下落率が日経平均より大きい銘柄をスクリーニングしました。

 

日経平均より下落率の大きい銘柄リスト:時価総額2.5兆円以上の大型株から抽出、下落率は8月10日から9月4日までで計算

コード 銘柄名 株価下落率(%)
4452 花王 ▲ 21.0
6501 日立製作所 ▲ 19.1
8316 三井住友FG ▲ 19.0
8604 野村HLDG ▲ 19.0
6594 日本電産 ▲ 17.8
4063 信越化学工業 ▲ 17.5
9983 ファーストリテイリング ▲ 17.4
9984 ソフトバンクグループ ▲ 16.6
7267 本田技研工業 ▲ 16.6
8306 三菱UFJ FG ▲ 16.5
8766 東京海上HLDG ▲ 16.1
4689 ヤフー ▲ 16.1
3382 セブン&アイHLDG ▲ 15.7
9020 東日本旅客鉄道 ▲ 15.7
5108 ブリヂストン ▲ 15.6
9022 東海旅客鉄道 ▲ 15.3
8802 三菱地所 ▲ 15.2
8801 三井不動産 ▲ 14.8
日経平均株価 ▲ 14.5

(注:楽天証券スーパースクリーナーより作成)

(3) 赤字の小型株は、大型優良株に乗り換えた方が良いと思います

東証マザーズに上場しているバイオ株には、赤字株が多数あります。バイオ産業は、今後大きな成長が見込まれますが、すべてのバイオ・ベンチャーが成功するとは限りません。赤字のバイオ・ベンチャーは、まだ、ビジネスとして成功するか否か、はっきりわからない段階にあるわけです。私がファンドマネージャーの時は、赤字の小型成長株には、原則、投資はしませんでした。赤字の小型成長株に投資する場合は、基本的には、短期投資と割り切って売買していました。赤字の小型株は値動きが荒いので、買ってから下がってしまった場合は、早めに損切りするようにしていました。

今もし赤字の小型株をお持ちでしたら、大型優良株へ乗り換えを検討しても良いのではないかと思います。ただし、近い将来、黒字になることがほぼ確実な銘柄は、その限りではありません。

(4)ファンドマネージャー時代は保有銘柄入れ替えを毎日少しずつ実施

私は過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやっていました。投資信託・公的年金・特金など、1000~2000億円の日本株運用を担当していました。ベンチマークであるTOPIX(東証株価指数)を、ほぼ毎年上回るパフォーマンスを上げていました。

毎日、保有銘柄の見直しをして、少しずつ銘柄の入れ替えをしていました。この入れ替えが、TOPIXに勝つ運用を続ける上で、とても大切です。株価が大きく上昇した銘柄を少しずつ売り、株価が下げ過ぎている銘柄を少しずつ買う入れ替えを続けていました。

相場の流れが変わると、大きく上がった銘柄が大きく下がり、大きく下がっていた銘柄が大きく上がることもあります。上がった銘柄を売り、下がった銘柄を買う入れ替えを少しずつやり続けることで、相場の流れが変わった時でも、TOPIXに大きく負けないように、ポートフォリオをコントロールすることができるようになります。

皆様は、毎日、ポートフォリオを見直す必要はありませんが、3ヶ月に一度、あるいは日経平均が大きく動いた時には、保有銘柄の見直しを行ったほうがいいと思います。今、日経平均が大きく下がったところですので、保有銘柄を見直す好機かと思います。