18日の日経平均は、65円安の20,554円でした。18日の上海総合株価指数が前日比6%下がったことなどが嫌気されました。日本株を取り巻く投資環境に弱材料が増えているので、しばらく日経平均は20,000―21,000円の範囲で、軟調に推移すると予想しています。

(1)中国経済の不振が、世界景気に影響

中国経済の不振が、世界景気に大きな影響を与えています。世界各地で景気が減速していますが、その元をたどっていくと、中国景気の不振とつながっています。

  • 中国と経済的なつながりが大きい国々への影響
    → タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナム・韓国・台湾など、アジア新興国の景気にマイナス影響
    → ドイツなど中国とのつながりが深いヨーロッパの国々にもマイナス影響
  • 中国からの需要減少の思惑から、原油など資源価格が急落
    → ブラジル・ロシア・オーストラリアなど資源国の景気が悪化
    → 先進国で資源関連産業が不振。アメリカでシェールオイル業者破綻が増える。
  • 中国発の世界景気減速によって、日本の景気・企業業績の回復にも遅れが生じる懸念

(2)米景気にも注視、利上げ時期に影響

中国景気減速の影響が相対的に小さく、景気が比較的好調なのが、米国です。ただし、米国については、FRB(中央銀行)が年内利上げの方針を打ち出していることが、世界の金融市場にとってネガティブ材料となっています。

資源価格急落や世界景気減速など、アメリカが利上げしにくい材料が増えています。それでも、イエレン米FRB議長が、年内利上げをかなり明確に示唆しているため、早ければ9月にも利上げという思惑が広がっています。

今後のシナリオとして2つ考えています。

<シナリオ1> 9月に利上げを強行するが、その後「さらに利上げを続ける環境にない」とイエレン議長が示唆し、金利上昇への懸念が早めに払拭される

→ 利上げ直前に世界的に株が下がり、利上げ後に世界的に株が買い戻される。

<シナリオ2> 9月には利上げを行わない。利上げは年内ぎりぎりの12月または年明けとなる

→ 利上げに対する警戒が年内いっぱい続く。欧米株式は上値が重いが、米インフレ率が低下していく中で利上げ不要論も広がると予想されるので、世界的に株が下がることはない。

(3)中国景気が、懸念されているほど悪化していなければ、世界的に株が買い戻される

世界景気への不安の元に、中国景気があります。中国景気が「けっこういい」となると、シナリオが完全に書き換わります。

  • 中国と関係の深い国々の景気にも回復期待が出る
  • 原油などコモディティ価格が急反発し、資源国・資源関連産業への悲観が薄れる

中国政府が発表する景気指標は正確性が疑われるので、中国景気の実態を把握するのは簡単ではありません。それでも、当面、中国から目が話せない状況が続きそうです。