6日の日経平均は50円高の20,644円でした。4-6月の決算はおおむね順調ですが、外部環境に不透明感があり、上下とも大きくは動きにくくなっています。

今日は、日本株の強弱材料を整理しました。

(1)日経平均は20,000~21,000円の範囲でやや膠着

日経平均推移:2015年2月2日~2015年8月6日

4-6月決算の実績を見ると、一部不振企業はあるものの、全体を見るとおおむね好調と言えます。企業業績だけ見ていると、日経平均はすぐ21,000円を越えて上昇していっても不思議はないところです。ところが、世界経済には不透明要因が増え、また、日本では安倍内閣の支持率が急落するなど、投資環境にさまざまな不安要因が増えています。外部環境を見ていると、日経平均はもう一度20,000円に向けて下がっても不思議ないところです。好調な企業業績と不安の多い外部環境を両方見ながら、日経平均は大きくは上下とも動きにくくなっている印象です。

(2)今期、金融を除き18%増益の予想を継続

東証一部上場3月決算企業(除く金融)の経常利益

2014年3月期 実績 +36%
2015年3月期 実績 +6%
2016年3月期 会社予想 +9%
楽天証券予想 +18%

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

4-6月の企業業績はおおむね好調です。2016年3月期の東証一部経常利益(除く金融)は、会社予想では9%増益ですが、楽天証券経済研究所では、18%増益に上方修正されると予想しています。

(3)日本国内の不安要因

  • 安倍内閣の支持率急落

    国内で一番懸念されるのは、安倍内閣の支持率急落です。日本経済新聞社が7月に実施した調査では、支持率が38%に急落、不支持率が50%に急上昇しました。この状態が続くと、地方選挙で自民党の敗退が続き、来年の参院選でも自民党の苦戦が予想されるようになります。そうなると、自民党が進めようとしている経済の構造改革はできなくなり、外国人投資家の日本株投資意欲に水を差す可能性があります。

  • 4-6月GDP

    8月17日8時50分に公表される4-6月GDPに注目が集まっています。前期比年率でマイナスであったという予想が増えています。日本の景気は回復トレンドにあるものの、輸出の回復が鈍いため、力強い回復とはなっていません。

(4)世界経済に不安要因が増える

  • 中国景気の失速懸念

    中国の景気が予想以上のピッチで減速してきている可能性があります。中国向けの輸出が2割近くを占める日本への影響は、避けられません。また、中国との経済的なつながりが大きい東南アジアの景気回復も遅れる可能性があります。

  • 資源安ショック

    中国景気失速懸念を受けて、原油が7月から再び大きく下がりました。原油だけでなく、石炭・鉄鉱石・金など、コモディティ価格が全面安となっています。その影響で、資源国の景気が一段と悪化する可能性が出ています。

  • 欧州景気も減速

    ギリシャのデフォルトは回避されました。ただ、欧州景気の低空飛行は続きそうです。中国景気が悪化すれば、中国との経済関係が深いドイツの景気に悪影響が及びます。直接にも間接にも、中国経済の世界景気への影響は大きくなりそうです。

  • 米FRBが年内利上げ見通し

    米景気は好調で、日本の企業業績に追い風となっています。ただし、米FRBが年内利上げの方針であり、利上げがあれば、一時的に世界の金融市場に悪影響を及ぼす可能性があります。

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来週1週間(8月10日~15日)、窪田は夏季休暇をいただきます。その間、「3分でわかる!今日の投資戦略」では、「クイズで学ぶテクニカル指標①~⑤」をお届けします。私が、25年間のファンドマネージャー時代に実践で役立てた、テクニカル指標を解説します。ぜひ、お読みいただきますよう、お願い申し上げます。