今週に入って、日経平均の値動きが小さくなっています。4日は27円安の20,520円でした。物色動向を見ると、景気敏感株(商社・電子部品・非鉄など)が売られて、ディフェンシブ株(医薬品・日用品小売り・電鉄など景気変動の影響を受けにくい株)が買われています。世界景気の減速感が強まりつつあることが意識され、投資家が景気の影響を受けにくいポートフォリオを選好する動きが強まっています。

原油価格は、中国および世界経済の減速懸念が広がっていることに反応し、7月半ばから急落しました。原油だけでなく、コモディティ価格は全面安となっています。日経平均が年末22,000円に向けて上昇するとの見方に変更はありませんが、短期的には、日経平均が再び20,000円前後まで売られる可能性も頭に置いた方がいいと思います。

(1)日経平均の値動きが縮小

日経平均株価:2015年2月2日―8月4日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

日経平均は、20,000円から21,000円の範囲で上下とも大きくは動きにくくなっています。目先、世界景気減速への懸念から20,000円前後に向けて下がるリスクもあると思います。ただし、20,000円を大きく下回ることはないと予想しています。

(2)原油先物が再び安値に接近

WTI原油先物(期近):2014年4月1日―2015年8月3日

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

米シェールオイル増産によってもたらされた供給過剰によって、2015年3月に1バレル43ドル台まで下落した原油先物は、米シェールオイルの生産が減り始めたことを好感して、5月には60ドルを回復しました。ところが、足元、世界景気減速による需要鈍化懸念を背景に、再び45ドルまで急落しています。

(3)コモディティ全面安

原油だけでなく、エネルギー・貴金属・穀物を含むコモディティ価格が、世界景気の減速懸念を背景に、全面安となっています。コモディティ価格の動向を示すCRB指数は、リーマンショック後の安値を割ってきています。

CRB指数の推移:2005年1月―20015年8月3日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

CRB指数とは、原油・ガソリン・天然ガス・トウモロコシ・大豆・金・銅・アルミニウムなど、各種コモディティ価格を合成して作成した指数です。コモディティ全般に、生産技術革新によって供給が増加する中で、需要の伸びが鈍化しつつあることによって、価格が下落しています。

(4)じっくり割安株への投資機会を探る

目先、日経平均は弱含みと考えますが、中期的な日経平均上昇を見込んでいますので、日経平均が下がれば、業績好調な割安株を買っていく好機となると思います。