先週の日経平均は、1週間で41円上昇の20,585円でした。材料不足で、上下とも大きくは動きにくくなっています。当面、日経平均は、20,000-21,000円の範囲で、大きくは動きにくくなると予想しています。ただ、4-6月決算発表がピークを迎えているので、決算内容に反応して個別株には急騰急落するものも出そうです。

(1)しばらく日経平均は20,000-21,000円のボックスで推移か

日経平均株価:2015年2月2日-7月31日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

  • 上値を抑える要因

    日本の景気回復期待に、やや水を差す話が出ています。中国経済の減速懸念が高まっており、その影響を見極めたいとのムードが出ています。4-6月の日本企業の決算発表で、中国関連株には業績が低調なものが増えています。

    4-6月のGDPがマイナス成長であったとの見方が増えていることも、警戒されています。マイナスは一時的で、7-9月以降には再び拡大トレンドが続くとの見方は多いものの、足元の景気回復のもたつきを印象付ける可能性はあります。中国・東南アジア・ブラジルなど新興国経済の停滞が続いているため、輸出の回復が鈍いと考えられます。

    さらに、もう1つの心配は、内閣支持率が急低下し、不支持率と逆転したことです。低支持率が長期化すると、日本株の上昇を牽引してきた外国人が日本株を見る目が変わる可能性もあり、注意を要します。

  • 下値を支える要因

    円安・原油安の恩恵は大きく、日本の景気・企業業績の拡大トレンドは変わらないという見方が大勢です。

(2)第1四半期(4-6月)決算発表と同時に、通期(2016年月期)業績予想を修正した会社

今期は、第1四半期から業績修正を発表する企業が多くなっています。ファナック(6954)や東京エレクトロン(8035)のように、サプライズ(驚き)となる下方修正もありました。ただし、サプライズとなる上方修正を出す企業もあり、全体として、企業業績の回復が続いているとの見方は変わりません。

7月31日までに2016年3月期の連結経常利益予想を上方・下方修正した主要企業:上方修正は赤で表示、下方修正は青で表示

(金額単位:億円)

コード 銘柄名 期初予想 前年比 修正後予想 前年比
4568 第一三共 950 18.8% 1,150 43.9%
4183 三井化学 470 5.8% 580 30.6%
5440 共英製鋼 85 -31.9% 110 -11.9%
4922 コーセー 246 -2.0% 286 13.9%
7224 新明和工業 145 0.9% 165 14.8%
5444 大和工業 190 -16.2% 220 -2.9%
3401 帝人 475 12.1% 530 25.1%
9021 西日本旅客鉄道 1,300 6.6% 1,435 17.6%
6798 SMK 38 -22.4% 43 -12.1%
7951 ヤマハ 330 5.7% 350 12.1%
9003 相鉄HLDG 223 2.0% 235 7.5%
3569 セーレン 80 9.2% 84 14.6%
6201 豊田自動織機 1,760 3.0% 1,840 7.7%
7276 小糸製作所 690 3.2% 720 7.7%
6902 デンソー 4,070 2.4% 4,140 4.2%
6479 ミネベア 660 9.7% 665 10.6%
7274 ショーワ 175 -5.0% 171 -7.2%
6806 ヒロセ電機 365 4.4% 350 0.1%
6282 オイレス工業 71 7.0% 65 -2.1%
7296 エフ・シー・シー 116 -10.4% 102 -21.2%
6954 ファナック 2,794 -10.4% 2,331 -25.3%
4043 トクヤマ 140 8.4% 120 -7.1%
8035 東京エレクトロン 1,120 20.5% 950 2.2%
7732 トプコン 205 37.8% 175 17.6%
9405 朝日放送 46 -4.8% 31 -35.8%
5741 UACJ 230 7.8% 130 -39.1%

(注:集計対象は、東証一部上場の3月期決算主要企業で、経常利益の通期見通しを修正した企業。9月中間決算の見通しだけ修正し、通期見通しを据え置いた企業は含まず。米国基準・IFRS採用企業は連結税前利益を経常利益とした。楽天証券経済研究所が作成)