先週の日経平均は、週初、EUによるギリシャ支援決定・上海株反発を好感して上昇したものの、週後半には、再び中国景気に対する不安が高まり、反落しました。その結果、1週間では、日経平均は106円下がり、20,544円となりました。原油が下げ止まらず、再び安値に近付いていることも、不安材料となりました。中国関連株・資源関連株の下げが目立ちました。

今週の日経平均は、上値が重い展開を予想しています。中国経済への不安が日本株の重石となりそうです。

(1)中国経済が新たな不安の種に

日経平均株価の推移:2015年2月2日―2015年7月24日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

ギリシャの信用不安は、EUの支援決定で一旦収束したと考えられます。ただし、上海株急落ショックは、上海株が反発しても、簡単には収束しません。

上海総合株価指数の推移:2014年12月30日~2015年7月24日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

上海株は、中国政府の強引な市場介入によって先週も反発が続きました。また、中国政府が7月15日に発表した4-6月のGDPは前年比7.0%増と高い伸びでした。しかし、中国政府によって恣意的に操作されていると考えられる上海株の動きやGDPの数字が中国経済の実態を表していると考える人は少なくなっています。

7月24日に発表された7月の中国製造業PMI(景況感指数)が悪化していたことを嫌気し、24日の日経平均は中国関連株を中心に前日比▲139円安となりました。

HSBCマークイット中国製造業PMI(季節調整済):2013年1月―2015年7月

(出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

HSBCマークイット製造業PMIは、製造業の購買担当者の景況感をアンケート調査し、指数化したものです。信頼性の低い中国政府発表の指標よりも、中国経済の実態をよく表していると考えられています。7月は、景況感の分かれ目となる50を5か月連続で下回っており、中国景気の実態は良くないという見方を裏付けた形となりました。

(2)原油安ショック、再び

原油価格が再び、下落しています。原油価格の下落は、日本経済にとって追い風です。ただし、資源関連産業の業績悪化や、資源国の景気悪化の不安を生じるという負の側面もあります。原油急落のマイナス効果は早く出るが、プラス効果(日本の消費や企業業績の回復)は遅く出てくる傾向があります。

ニューヨークWTI原油先物(期近)の推移:2014年4月1日~2015年7月24日

(出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定)

昨年1バレル当たり100ドルを超えていたWTI原油先物価格は、一時44ドルまで下がりました。アメリカのシェ-ルオイル増産で世界的に原油が供給過剰となったことが、下落の主因です。ただし、原油急落でコスト割れとなったシェール油井が増え、シェールオイルの生産がようやく減少に向かい始めたことから、2015年に入って原油先物価格は一時1バレル61ドルまで反発してきていました。

ところが、足元、①中国経済減速による需要減少の不安、②原油価格反発を受けた従来型油田の増産もあり、WTI原油先物は、再び急落しています。

(3)日本株は買い場との見方を継続

今週の日経平均は上値が重くなりそうですが、日本株は買い場との見方を継続します。中国経済の減速には警戒が必要ですが、それでも日本の景気・企業業績の回復トレンドは変わらないと考えています。