22日の日経平均は、248円安の20,593円でした。特に悪材料が出たわけではありませんが、最近の日経平均の上昇が急ピッチだったことから、利益確定売りが出ました。始まったばかりの4-6月決算の中身を見極めたいというムードが広がっています。

今日は、足元の2016年3月期の企業業績見通しについて解説します。

(1)東証一部上場、3月決算、主要706社の2016年3月期経常増益率見通し

5月15日時点

  除く金融667社 金融39社 全産業706社
今期会社予想 + 12.1% ▲ 5.0% + 9.9%
今期市場予想 + 17.3% ▲ 6.0% + 14.3%

7月22日時点

  除く金融667社 金融39社 全産業706社
今期会社予想 + 12.2% ▲ 5.0% + 10.0%
今期市場予想 + 18.5% ▲ 2.3% + 15.9%

(注:市場予想はアナリスト・コンセンサス予想、楽天証券経済研究所が作成)

  • 会社予想は保守的

    今期は、原油安・円安が、企業業績を押し上げます。7月22日時点で、主要706社の経常利益は、会社予想では+10.0%、市場予想では+15.9%増加する見通しとなっています。例年通り、会社が公表する予想(+10.0%)は保守的(低め)で、市場予想(+15.9%)の方が実態(会社の本音)に近いと考えられます。

  • 5月15日から7月22日までに市場予想は少し引き上げられた

    5月15日時点の予想と比較すると、会社予想は+9.9%が+10.0%になっただけで、ほとんど変化していません。さすがに、出したばかりの予想をすぐに修正する企業はほとんどありません。それに対して、市場予想は引き上げられています。5月15日時点で+14.3%でしたが、7月22日には+15.9%になっています。景気回復の足取りがしっかりしてきたことを受けて、アナリストの予想する利益が少しずつ上方修正されています。

  • 金融も、金融以外も利益の見通しが引き上げられている

    5月15日と7月22日の市場見通しを比較すると、金融も、金融以外も引き上げられています。金融は、▲6.0%から▲2.3%へ減益率が縮小しています。株式市場の上昇を受けて、株式売却益が積みあがってきたことなどが寄与している模様です。

    除く金融では、+17.3%増益が+18.5%増益に修正されています。円安の進行、米景気の回復などが、寄与している模様です。

  • 円安が増益に寄与

    2015年3月期のドル円為替レートの平均は1ドル109.91円でした。これに対し、2016年3月期の業績予想の前提として、輸出企業が設定しているレートは、1ドル115円くらいです。会社予想でも、一定の円安効果は見込まれているわけです。

    ただし、足元の為替レートはさらに円安へ行っています。今期(4月1日から7月22日まで)で見ると、平均為替レートは1ドル121.64円です。第1四半期は、会社計画で見込んでいる以上の円安効果が得られているはずです。

(2)年末に日経平均が22,000円へ上昇する予想を維持

中国景気失速懸念・米利上げ懸念など、海外には不安材料がありますが、それでも、日本の景気・企業業績の増益トレンドは変わらないと考えています。楽天証券経済研究所では、今期金融を除く経常利益が18%増益するとの予想を前提に、今年の年末に日経平均は22,000円に上昇すると予想しています。