14日の日経平均は、295円高の20,385円と大幅続伸しました。日経平均は、ギリシャショックと中国ショックで急落した分を、ショックが終息に向かっていることにより、ほぼ取り戻したかたちです。日経平均が年末22,000円まで上昇するとの予想を継続します。今後も、海外発のショックで短期的に下げる局面はあるかもしれませんが、日経平均2万円が下値抵抗線として意識されるようになると予想します。

(1)下値支持線として意識される日経平均2万円

日経平均の推移:2015年2月2日-2015年7月14日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

4月には、日経平均2万円は、上値抵抗線として意識されていました。2万円が近づくと、利益確定売りが増えました。ところが、5月に日経平均が2万円を超えてから、2万円は下値抵抗線として意識されるようになりました。6月は、日経平均が2万円まで下げると押し目買いが入りました。

7月に入ってギリシャ・中国ショックを受けて、日経平均は一時19,115円まで売られました。2万円以下での滞留期間が長くなると、2万円が再び上値抵抗線となる可能性がありました。ところが、日経平均はV字反発して、ショック前の水準まですぐに戻りました。2万円割れが短期で終了したので、テクニカル分析では2万円の下値がより強化された印象です。

(2)企業業績の拡大によって日経平均2万円は割安と考えられるようになる

2016年3月期の会社予想利益から評価すると、日経平均2万円はPER(株価収益率)で約16倍になります。世界の主要市場株式は概ねPER13倍~19倍で評価されており、日経平均に割高感はありません。米国株(S&P500)がPER19倍で評価されていることと比較すると、日経平均の方が割安です。

日本株は歴史的にはPER20倍以上で評価されていました。現在の日経平均のPER16倍は、歴史的なPERと比較すると、割安と考えることができます。

(3)ギリシャ・中国、次の注目点

  • ギリシャ:15日までに緊縮策実施の法制化ができるか?

    EU首脳会議では、ギリシャが、15日までに緊縮策実行のための法案を議会で通すことを条件に、金融支援の再開に合意しました。ギリシャ議会は、既に11日に緊縮案の全体像を承認済みです。ところが、増税や年金カットなど個々の法案については、反対論も残ります。チプラス首相が15日までに、与野党を説得して、緊縮策実行のための法案をすべて議会で通すことができるか、注目されます。

    チプラス首相が率いるシリザ(急進左派連合)および連立与党を組む独立ギリシャ党からは、造反者が出る見込みです。ただし、最大野党である新民主主義党は、もともとEUに協力的であり、緊縮を受け入れるチプラス首相を支持する旨発表しています。最終結果が確定するまで予断は許しませんが、15日中に何とか緊縮実行の法制化が実現するとの見方が優勢です。

  • 中国:信用取引にからむ損失処理で上海株が下落するリスクは残る

    上海株は、既に大底はつけたと思われます。ただし、中国政府が株式市場に過剰な介入を行った後遺症は、続きそうです。売買停止中の中小型株には、過剰なレバレッジ投資(小額の資金を元手に多額の借り入れを行って投資すること)を行い、損失をこうむっている個人投資家がいると考えられます。こうした中小型株は、売買再開後に、株価がさらに下落するリスクも残っています。過剰なレバレッジ投資を仲介した金融業者では、上海株の急落を受けて大きな損失を出すところもあるでしょう。上海株は、損失処理にからんでさらに乱高下する可能性があります。

    ただし、この問題が中国全体の景気を急激に悪化させるリスクは小さいと考えています。また、日本経済への影響も限定的と判断しています。

上海総合株価指数:2015年2月2日-7月14日

(注:楽天証券経済研究所が作成)