1日の日経平均は、93円高の20,329円と続伸しました。ギリシャは、6月末期限のIMFへの融資返済ができませんでしたが、それは「織り込み済み」です。市場の注目は、7月5日のギリシャ国民投票に移っています。ギリシャ国民が、EUが要求する緊縮策を受け入れるか拒否するかが鍵です。受け入れればEUによる支援が継続されギリシャのユーロ残留が続くでしょう。拒否すれば、ギリシャのデフォルトとユーロ離脱が決まるでしょう。

ギリシャの行方にかかわらず、日本の景気・企業業績の回復トレンドは続くと考えられるので、ギリシャ・ショックで下がった今、日本株は買い場との見方を継続します。景気・企業業績の回復が続くことによって、日経平均は年末に22,000円まで上昇すると予想しています。

(1)日銀短観では日本の景気回復トレンドが続いていることを確認

1日に6月の日銀短観が発表されました。日本の景気動向をよく表すものとして注目が高い大企業製造業DIは+15と、事前予想の+12を上回り好調でした。景気判断の分かれ目である±0を大きく上回った状況が続いており、大企業の業績拡大が続いていることがわかります。

6月の日銀短観、大企業製造業DI

(出所:日本銀行)

大企業の2015年度設備投資計画が、18.7%増と、前回(3月)調査より11.8%ポイント上回ったことも好感されます。景気回復に伴う設備投資が動き始めたと考えられます。円安により、設備投資の国内回帰も始まっている模様です。

6月の日銀短観、大企業非製造業DI

(出所:日本銀行)

今回の景気回復局面では、非製造業の好調さが目立ちます。大企業・非製造業DIは、6月実績が+23、9月予想が+21と、大企業・製造業DIを上回る水準にあります。

(2)海外要因で日経平均は下げているが、国内景気は順調に回復

日経平均の下げは、国内要因よりも海外要因から起こっていると考えられます。日本の景気回復の足取りはだんだんしっかりしてきています。ところが、海外に目を転じると、いろいろな不安要因があり、欧米株式は調整しています。ギリシャのユーロ離脱懸念、中国景気の減速懸念、資源国の景気悪化、アメリカの年内利上げ懸念などが不安材料となっています。

海外要因によって、外国人投資家が日本株を売ってきた時、国内に特に悪材料がなければ、そこは日本株の買い場となると考えます。

(3)昨年8月以降、日経平均は3回の下げ局面があったが、いずれも買い場であった

日経平均を見ると、過去1年で3回下げ局面があります。いずれも、国内要因ではなく、海外要因によって外国人が日本株を売って下げたものです。

日経平均株価:2014年8月1日-2015年7月1日

  • 2014年10月の下げ
    米金融緩和終了・エボラ出血熱蔓延・欧州景気悪化・原油安ショックが嫌気されました。
  • 2015年1月の下げ
    資源全面安のショック・ギリシャ信用不安・欧州景気悪化が嫌気されました。
  • 2015年5月の下げ
    米景気の失速が不安視されました。
  • 2015年6月の下げ
    ギリシャ信用不安・アメリカの年内利上げ懸念が嫌気されています。

①~④の下げでは、いずれも外国人が売り、国内の個人投資家が買い向かっています。今回も、国内にとりたてて悪材料がないので、この下げ局面は良い買い場となると予想しています。