9日の日経平均は、360円安の20,096円と急落しました。世界的な金利上昇への警戒から欧米株式が調整する中、日経平均が高値を保っていたことから、外国人投資家の利益確定売りが出た模様です。6月12日にSQ(先物・オプション6月限の特別清算数値の算出日)を控えており、心理的に売りが出やすい状況であったことも影響し、下げ幅が大きくなりました。

今週はSQを控え、調整が続くと考えられます。ただし、日本の景気・企業業績の回復が鮮明になりつつあるので日経平均が2万円を割れれば、買い場になると考えています。

(1)日本株の短期変動は、外国人投資家の売買によって決まる

過去20年以上、①外国人投資家が日本株を買い越した月は日経平均が上昇、②外国人が売り越した月は日経平均が下落、となる傾向が顕著です。外国人投資家は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売ってくる傾向があるからです。

外国人と対極の売買をしているのが、日本の個人投資家です。過去20年、①外国人が買って日経平均が上昇すると個人投資家は売り越し、②外国人が売って日経平均が下がると個人は買い越し、となる傾向があります。

今年もそうです。1月前半に外国人の売りで日経平均が下げた時、個人投資家は買い越しました。2月以降、外国人の買いで日経平均が上昇している間、個人は売り越しが続いていました。

2015年1月の主体別売買動向

投資主体 売買代金差額 備考
信託銀行 5,262億円 主にGPIFなど公的年金の買い
個人 3,522億円 投資判断に基づく買い
事業法人 1,619億円 主に自社株買い
投資信託 432億円 主に個人投資家の買い
銀行 180億円 持合い解消売りが一服
生保・損保 ▲323億円 持合い解消売り
証券自己 ▲2,252億円 主に裁定解消売り
外国人 ▲8,932億円 投資判断に基づく売り

2015年2月~5月の主体別売買動向

投資主体 売買代金差額 備考
外国人 3兆7,229億円 投資判断に基づく買い
証券自己 2兆4,801億円 主に裁定買い
事業法人 1,077億円 主に自社株買い
銀行 ▲1,456億円 持合い解消売り
信託銀行 ▲3,160億円 主に年金基金のリバランス売り
生保・損保 ▲3,346億円 持合い解消売り
投資信託 ▲3,431億円 投資判断に基づく売り
個人 ▲4兆5,650億円 新規公開株の売りと、投資判断に基づく売り

(出所:売買代金差額は東京証券取引所「投資主体別売買動向」、備考の説明は楽天証券経済研究所が作成)