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SQ前に日経平均が急落
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

SQ前に日経平均が急落

2015/6/10
9日の日経平均は、360円安の20,096円と急落しました。世界的な金利上昇への警戒から欧米株式が調整する中、日経平均が高値を保っていたことから、外国人投資家の利益確定売りが出た模様です。
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9日の日経平均は、360円安の20,096円と急落しました。世界的な金利上昇への警戒から欧米株式が調整する中、日経平均が高値を保っていたことから、外国人投資家の利益確定売りが出た模様です。6月12日にSQ(先物・オプション6月限の特別清算数値の算出日)を控えており、心理的に売りが出やすい状況であったことも影響し、下げ幅が大きくなりました。

今週はSQを控え、調整が続くと考えられます。ただし、日本の景気・企業業績の回復が鮮明になりつつあるので日経平均が2万円を割れれば、買い場になると考えています。

(1)日本株の短期変動は、外国人投資家の売買によって決まる

過去20年以上、①外国人投資家が日本株を買い越した月は日経平均が上昇、②外国人が売り越した月は日経平均が下落、となる傾向が顕著です。外国人投資家は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売ってくる傾向があるからです。

外国人と対極の売買をしているのが、日本の個人投資家です。過去20年、①外国人が買って日経平均が上昇すると個人投資家は売り越し、②外国人が売って日経平均が下がると個人は買い越し、となる傾向があります。

今年もそうです。1月前半に外国人の売りで日経平均が下げた時、個人投資家は買い越しました。2月以降、外国人の買いで日経平均が上昇している間、個人は売り越しが続いていました。

2015年1月の主体別売買動向

投資主体 売買代金差額 備考
信託銀行 5,262億円 主にGPIFなど公的年金の買い
個人 3,522億円 投資判断に基づく買い
事業法人 1,619億円 主に自社株買い
投資信託 432億円 主に個人投資家の買い
銀行 180億円 持合い解消売りが一服
生保・損保 ▲323億円 持合い解消売り
証券自己 ▲2,252億円 主に裁定解消売り
外国人 ▲8,932億円 投資判断に基づく売り

2015年2月~5月の主体別売買動向

投資主体 売買代金差額 備考
外国人 3兆7,229億円 投資判断に基づく買い
証券自己 2兆4,801億円 主に裁定買い
事業法人 1,077億円 主に自社株買い
銀行 ▲1,456億円 持合い解消売り
信託銀行 ▲3,160億円 主に年金基金のリバランス売り
生保・損保 ▲3,346億円 持合い解消売り
投資信託 ▲3,431億円 投資判断に基づく売り
個人 ▲4兆5,650億円 新規公開株の売りと、投資判断に基づく売り

(出所:売買代金差額は東京証券取引所「投資主体別売買動向」、備考の説明は楽天証券経済研究所が作成)

(2)SQ前に裁定解消売りが出るとの思惑が働きやすいのは、なぜか?

少し専門的な話になりますが、読者の方から質問がございましたので、ご説明します。まず、簡単に裁定売買の仕組みを説明します。

まず、上の投資主体別投資動向の、外国人と証券自己のところを見てください。1月に外国人が売り越すと、証券自己も売り越しています。2月~5月、外国人が買い越すと、証券自己も買い越しています。買い越しの大部分は裁定買いで、売り越しの大部分は裁定解消売りです。

証券会社が、短期的な相場変動で稼ごうと、自己で大きな売り買いのポジションを取ることは、近年はほとんどありません。証券会社が株式現物を買っている場合、同時に株価指数先物を売っているのが普通です。先物を売りながら同時に現物を買うことを、裁定買いといいます。2月~5月に外国人が3兆7,229億円買い越している間に、証券自己が2兆4,801億円も買い越しています。これは、ほとんどが裁定買いと考えられます(買い決めに伴う買いもかなり含まれますが話が複雑になりすぎるので、そこは割愛します)。

外国人投資家は、株式現物だけでなく、株価指数先物(たとえば日経平均先物)も買ってきていました。外国人が日経平均先物を大量に買うと、先物の価格が日経平均に採用されている株式現物の価格対比で割高になります。そこで、証券自己が裁定買いを入れます。割高な日経平均先物を売り、同時に割安な日経平均採用銘柄を買うのです。

こうして日経平均が上昇した日に、よく「裁定買いで日経平均が上昇した」というコメントが出ます。確かにその通りですが、私は、実態を表していない説明だと思います。外国人投資家が先物を買ったから、日経平均が上がったというのが、実態に即した説明です。2月~5月の主体別需給に現れている証券自己の買いは、ほとんどが、外国人の先物買いによって誘発されたと考えられます。

さて、裁定買い残高が積みあがってくると、今度は、「裁定解消売りが出る」との思惑が広がり始めます。実際、裁定買い残高が積み上がる過程で、先物を買い建てている外国人投資家は、いずれ先物を売り埋めしてきます。外国人投資家が先物を大量に売ると、一時的に先物が割安に、株式現物が割高になります。そこで、証券会社は、裁定取引で売り建てていた先物を買い戻すと同時に、裁定取引で買った株式現物を売ります。それが、裁定解消売りです。こうして日経平均が下落した日に、よく「裁定解消売りで日経平均が下がった」というコメントが出ます。

さて、それでは、SQが近づくと、なぜ裁定解消売りが出るとの思惑が働くのでしょうか?詳しく説明すると、長くなりすぎるので、結論だけ申し上げます。6月限先物を使って大きな裁定買い残高を抱えている証券会社は、6月限清算値(SQ値)が決定される6月12日寄付で裁定買いで保有している株式現物を成行売りすれば、リスクなしで裁定買いポジションをクローズすることができます。だから、証券自己が裁定解消売りを出すのではないかという不安が、SQ前に広がりやすいのです。

ただし、現実に、証券自己がSQで裁定ポジションをクローズすることはほとんどありません。SQでは先物を買いロールして、裁定ポジションをそのまま維持することがほとんどです。最後の方は、専門用語ばかりで何が何だかわからなくなった方もいらっしゃると思います。すみません。

結論だけ、最後にもう一度述べます。

3月・6月・9月・12月のSQ(第2金曜日)前に、株式相場が弱含んでくると、裁定解消売りで相場が下がるという思惑が出やすくなります。ただし、実際にSQで裁定ポジションを閉じるために裁定解消売りを出す裁定業者はほとんどありません。SQ前に思惑で大きく下げた時は、SQ通過後に株が上昇に転じることが過去には多くありました。

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