先週の日経平均は、1週間で102円下がって20,460円となりました。アメリカが年内に利上げを実施するとの見方が広がり、NYダウの上値が重くなっていることが警戒されました。ただし、米利上げの思惑から一段とドル高(円安)が進んだことを受けて、日経平均の下値では外国人の買いが続いています。円安が日本の企業業績をさらに拡大させる期待が、日経平均の下値を支えています。今週の日経平均は上昇して始まるものの、上値は重いと予想します。

(1)今日は上昇して始まるも、上値は重いと予想

5日発表の5月の米雇用統計がポジティブサプライズで、1ドル125円台まで円安が進んだことが好感されて、8日(月曜日)の日経平均は上昇して始まるでしょう。ただし、アメリカの年内利上げの確度が高まったことを嫌気して、世界的に長期金利が上昇しており、5日のNYダウが56ドル安の17,849ドルと下がっていることから、上昇したところでは、利益確定売りが出やすくなると予想します。

(2)日経平均は、12連騰達成後に、上値が重くなってきている

日経平均日足:2015年1月4日―6月5日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

先週月曜日(6月1日)まで、日経平均は12営業日連続で上昇していました。12連騰は27年ぶり(1988年2月以来)です。ただ、毎日の値上がり幅は小さく、最後の3連騰(5月28日・29日・6月1日)は、上のチャートをご覧いただけるとわかる通り、上値を切り下げる中で、辛うじて、終わり値で前日比プラスを保っていました。「27年ぶりの12連騰」とはやしたてるほどの強さは感じられません。

気迷い相場となっている背景は明らかです。アメリカが年内に利上げする可能性が高まり、世界的に長期金利が上昇していることが警戒されています。

アメリカ・イギリス・ドイツ・日本の長期金利の動き:
2013年12月30日~2015年6月5日

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

NYダウは、金利上昇を嫌気して、足元、調整が続いています。

NYダウ日足:2015年1月9日―6月5日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

(3)5日発表の5月米雇用統計はポジティブ・サプライズ

米景気動向をよく表す指標として注目の高い「非農業部門の雇用者増加数」が、前月比28万人の増加と、事前の市場予想(22.5万人増)を大きく上回り、ポジティブサプライズでした。景気好調のメドとされる20万人増を大きく上回っており、4月以降、米景気が再び強さを取り戻しつつあると見る証左となりました。

これで、米FRBイエレン議長の言葉「4月以降に米景気が好調に推移するとの予想のもとで年内の利上げが適当」が、数字によって裏付けられた形となり、年内利上げの思惑が広がり、ドル高(円安)が進みました。

アメリカの非農業者部門の雇用者増加数(前月比):2013年1月~2015年5月

(出所:米労働省)

5月の米失業率は5.5%と、4月の5.4%から0.1%上昇しましたが、景気回復にともない求職者が増えたためであり、雇用情勢が悪化したわけではないと解釈されています。

アメリカの完全失業率:2013年1月~2015年5月

(出所:米労働省)