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バイオ関連株の投資の考え方
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

バイオ関連株の投資の考え方

2015/6/4
6月3日の日経平均は69円安の20,473円でした。6月1日まで12営業日連続で上昇した後、2日連続の下げとなりました。上げ幅が小さい12連騰の後に、下げ幅の小さい2日連続安となりました。
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6月3日の日経平均は69円安の20,473円でした。6月1日まで12営業日連続で上昇した後、2日連続の下げとなりました。上げ幅が小さい12連騰の後に、下げ幅の小さい2日連続安となりました。

目先のイベントで注目が大きいのは、5日発表予定の5月米雇用統計です。1-3月に失速した米景気が年後半にかけて、力強く回復するのか見分ける試金石となります。イベント前で、積極的に動きにくいムードです。

最近、バイオ関連株の投資について質問を受けることが多くなったので、今日は、バイオ関連株についての考え方を書きます。

(1)バイオ医薬品の成長余地は大きいが、日本には有望企業が少ない

最初に、結論から言います。バイオ医薬品の将来性はきわめて大きいが、日本で有望な投資対象を見つけるのは困難です。日本はバイオ医薬品の開発で、欧米より著しく出遅れているからです。「バイオ関連」というだけで、利益も出ていないのに、割高な水準まで買われている株が東証マザース市場に数多くありますが、黒字化のメドもたっていないような株は、じっくり長期投資する対象としては不適切かと思います。

(2)日本でバイオ医薬品の開発が進みにくい理由

欧米では新薬開発のパイプラインは、バイオ医薬品が中心になってきています。ただし、日本国内ではバイオ医薬品の開発は遅れています。バイオ医薬品は製造コストが高く、高価な薬になるので、日本で認可がおりにくいという事情もあります。高額のバイオ医薬品が大量に導入されて、医療保険の請求対象になると、保険財政が持たなくなるという不安が背景にあります。

公的医療保険による「国民皆保険」を維持していることが、日本の医療の質を高めています。一方で、その皆保険を維持するために、バイオ医薬品のような高価な薬の導入が遅れるという面もあります。高価なバイオ医薬品だけ保険非適用として、その他の医療行為を保険適用とする「混合治療」が認められれば、バイオ医薬品の導入に追い風となるかもしれませんが、今のところ混合治療も認められていません。

(3)バイオ医薬品とは

従来の医薬品(低分子薬)とバイオ医薬品では、次のような違いがあります。

  • 従来の医薬品:自然界に存在する物質を抽出、または化学的に合成して製造した医薬品。適正な使用方法を守らないと重い副作用が出るものもある。
  • バイオ医薬品:生物が営む生命現象や生体機能を利用して生産された医薬品。もともと体内にあるたんぱく質を使って創りだした医薬品なので、副作用が小さい。

新薬の認可において、副作用が小さいことが重視される時代になりました。認可直前の画期的新薬に、想定外の副作用があることがわかって、認可が得られず、開発中止となることも多くなりました。その点、バイオ医薬品は、副作用が小さいので、開発のリスクは相対的に低くなります。

(4)バイオ医薬品によって治療困難な疾患に治療の道が開かれてきた

従来の医薬品で治療困難な三大疾患は、以下の3つです。

  • ウイルス性疾患
  • 自己免疫(アレルギー性)疾患
  • ガン

この3分野に治療の道を開きつつあるのが、バイオ医薬品です。抗体医薬品(バイオ医薬品の一種)を活用することで、ガンでも治療可能な分野が広がってきています。従来の抗がん剤は、正常細胞とガン細胞を両方攻撃してしまうので、副作用が大きく、治療効果があげにくい問題がありました。バイオ医薬品には、ガン細胞だけをターゲットとして向かっていく性質を持ったものがあり、副作用が少なく、治療効果を高めやすくなっています。血液ガンは、こうしたターゲット薬の投入で、治療可能になるケースが増えました。

ガンとアレルギー疾患は、自身の細胞が異常行動を引き起こすという点で共通です。外部から侵入した生物(細菌)は、抗生物質などの投与で攻撃することが可能ですが、自身の細胞が異常行動を起こす場合は、正常細胞と異常細胞の判別がむずかしく、異常細胞だけを攻撃するのは難しくなります。そこで、異常細胞だけをターゲットとして攻撃する抗体医薬品が効果を発揮します。

(5)バイオ技術で評価できる企業

日本はバイオ医薬品の開発において、欧米企業に劣後しています。産業は有望だが、高い技術をもった魅力的な投資対象を見つけにくいというのが、正直な感想です。

技術的に評価できるのは、中外製薬(4519)です。中外製薬は現在、スイスの医薬品大手ロシュの子会社となっています。ロシュは、バイオ医薬品の技術で世界の最先端にいます。中外製薬は、子会社としてロシュの技術を活用できる強みがあります。中外独自の研究開発で、バイオ医薬品を生み出した実績もあります。

また、協和発酵キリン(4151)は、抗体医薬品(バイオ医薬品の一種)で独自技術(ポテリジェント技術)を有しており、注目できます。ところが、技術は有用ですが、実際のバイオ医薬品の開発で具体的な成果が上がらず、利益を成長させるのが難しくなっています。

大手医薬品メーカー(武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)、第一三共(4568)、エーザイ(4523))は、バイオ医薬品の技術を持つ欧米のベンチャー企業を買収するなどの方法で、バイオ医薬品に参入しています。ただし、欧米大手と比べると、周回遅れの現状は、変わりません。

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