6月2日の日経平均は26円安の20,543円となりました。6月1日まで12営業日連続で上昇していましたが、13営業日連続の上昇とはなりませんでした。日本の景気回復がデータに現れてきており、日本株の上昇を後押ししています。

ただし、米景気の減速リスクには、注意を要します。1-3月に失速した米景気が、果たして本当に4月・5月から回復しているのか、今週発表の米景気指標に注目です。

(1)日経平均は過熱感の出ない12連騰のあと小幅安

毎日の上昇幅が小さい「匍匐(ほふく)前進」相場が続いてきましたので、12連騰後も過熱感は出ていません。

日経平均26週移動平均線からの上方かい離率:2012年10月1日―2015年6月2日

日経平均の26週移動平均線からの上方かい離率は約10%で、過熱感はありません。相場が過熱していたのは、2013年5月のバーナンキ・ショック直前です。この時のかい離率は30%に近づいていました。

(2)設備投資に回復機運

財務省が1日発表した1-3月期法人企業統計では、金融を除く全産業(資本金1千万円以上)の設備投資額が前年比で+7.3%でした。大企業だけでなく、中小企業にも設備投資を増やす動きが出ています。長期にわたり国内で設備投資が低調であったため、老朽化した設備の更新需要が出ている他、円安で設備投資の国内回帰の動きが出ていることも追い風です。

法人企業統計の結果を受け、1-3月のGDP成長率(速報で前期比年率+2.4%)は、上方修正される見込みです。GDP速報値が出る段階では、まだ法人企業統計が発表されていないので、設備投資の伸びを正確に見積もることができません。GDP速報値では「大まかな推定」で設備投資は前年比▲4.8%とされています。ここが上方修正されることで、GDP全体の伸びも前期比年率+3%程度に上方修正される可能性もあります。

1-3月の米国GDP改定値は前期比年率▲0.7%でした。1-3月で見ると、日本が予想以上に強く、米国が予想以上に弱い結果となっています。

(3)米景気失速が続くリスクに要注意

ドル高(円安)が米国の輸出企業の業績を悪化させています。また、原油価格の急落によって、エネルギー産業の業績が悪化しています。こうした背景から、米国の製造業景況指数は弱含んできました。ただし、5月発表値は、4月より若干改善しています。

米ISM製造業景況指数

(出所:米ISM供給管理公社)

現時点で、市場コンセンサスは「1-3月の米景気失速は一時的で、4月以降、米景気は高成長に戻る」となっています。米景気はすぐ回復に向かうことを前提に、NYダウは大きく下がらずに済んでいます。

今週、一番の注目は、5日(金)の日本時間では夜に発表される5月の米雇用統計です。ここで強い数字が出れば、とりあえず一安心ですが、弱い数字が出ると、NYダウ下落→ドル安(円高)→日経平均も調整となる可能性があり、注意を要します。