日経平均は、目先、大きくは上へも下へも動きにくくなっています。ところで最近、大手銀行株の値上がりが目立つなど、バリュー(割安)株の見直しが進んでいます。私は、この流れはしばらく続くと見ています。

(1)成長株相場と割安株相場は、循環する

成長株相場と割安株相場、イメージ図

(楽天証券経済研究所が作成)

投資家の約6割は成長株派と考えられます。成長性の高い株に投資することを好み、成長性の低い株には投資したくないと考える傾向があります。そういう投資家にとって、上のイメージ図にあげた「成長株相場」は、わかりやすい相場です。

ところが、株式相場はいつも単純に成長性の高い株の上昇率が高くなるわけではありません。30%しか増益しない成長株の株価が2倍になるような行き過ぎが続くと、その後、反動で成長株は売られます。

その局面で、これまで堅実経営でも人気がなく、株価上昇率の低かった銘柄が見直されて買われることがあります。これが、「割安株相場」です。なぜ、成長株が売られ、成長性の低い株の上昇率が高くなるのか、割安株相場で起こることは、成長株派にはわかりにくいと、言われます。

長期的に見れば、成長株の方が上昇率が高い事実は変わりません。ただ、成長株の上昇と割安株の安値放置は、しばしば行き過ぎます。そうなると株価バリュエーションの調整が必要になり、割安株相場が起こるのです。

さて、割安株相場がわかりにくいと言いましたが、それは、あくまでも成長株派から見た場合です。投資家には、派手な成長株相場にはついていけず、ついつい出遅れの割安株ばかり好んで買うタイプの投資家もいます。割安株派です。割安株派から見ると、成長株ばかり買われる成長株相場こそ理解しにくく、出遅れ株が見直される割安株相場になって、ホッとするということがあります。

(2)成長株の流れにも、割安株の流れにも自然に乗れるのが理想

読者の皆様は、成長株派、割安株派、どちらですか?一般に、成長株派は6割、割安株派3割と考えられます。それでは、残り1割は何でしょう。両刀使いです。成長株と割安株の流れ、どちらにも自然に乗っていけるタイプです。株式投資で上級を目指すならば、このタイプを目指すべきです。サッカーで言えば、右でも左でも巧みなシュートを打てるタイプが理想的です。

もし、銀行株やNTTグループ株のような成長性の低い株に長期投資するのは「ばかげている」と考えるようでしたら、あなたは、成長株派かもしれません。株価バリュエーションが高いネット株やバイオ株に投資することを「ばかげている」と考えるようでしたら、あなたは、割安株派の可能性が高いといえます。成長株派の方は割安株の、割安株派の方は成長株の投資の面白さも理解できるように努力した方が良いと思います。