日経平均は、しばらく上値が重く、下値は堅い展開となりそうです。さて、今日は、世界経済の見通しについて、考えていることを書きます。

14日に発表されたIMFの見通しによると、2015年の世界経済は資源国と非資源国で、明暗が分かれます。日本と欧州は資源安の恩恵で景気回復に向かいます。かつて高成長の新興国として話題になったブリックス(ブラジル・ロシア・インド・中国の4カ国)では、資源国のブラジル・ロシアがマイナス成長に落ち込む一方、資源安の恩恵を受けてインドの成長率が一段と高まる見込みです。

(1)先進国ではアメリカ一人勝ちだが、成長見通しは下方修正

IMF世界経済見通し(GDP成長率)

  2015年 2016年
米 国 3.1% 3.1%
日 本 1.0% 1.2%
ユーロ圏 1.5% 1.6%

(出所:IMF)

シェールガス・オイル革命で低価格エネルギーの恩恵を受ける米国の高成長が続くという見通しは継続しています。ただし、2015年の成長率について、米国は3.6%→3.1%と引き下げられています。実質賃金が低迷すること、米国内の資源産業が悪化することが、見通し引き下げの理由です。一方、日本・ユーロ圏は、資源安の恩恵を受け、成長率見通しが引き上げられています。

(2)資源国の低迷と、非資源国の好調が鮮明に

IMF世界経済見通し(GDP成長率)

  2015年 2016年
中 国 6.8% 6.3%
インド 7.5% 7.5%
ブラジル -1.0% 1.0%
ロシア -3.8% -1.1%

(出所:IMF)

リーマンショック前に、高成長4カ国の頭文字を取って、BRICS(ブリックス)という言葉がはやりました。この言葉はもはや死語になっています。資源国と非資源国で、その後の運命がまったく異なるからです。

資源国であったブラジル・ロシアは、2015年はマイナス成長に落ち込む見通しです。人口が成長する若い国として期待されていたブラジルは、今になって振り返ると、資源高で景気が良かっただけということになります。今後、何年かかけて経済を立て直していくことになります。人口が成長する若い国という事実は変わらないので、時間はかかりそうですが、いつか立ち直るという期待はあります。一方、ロシアはより深刻です。少子高齢化が進む国で、人口構成から成長を期待することはできません。高成長と見られたのは、原油高の恩恵で消費が伸びていただけでした。ロシアは製造業を育てようと努力していますが、今のところほとんどうまくいっていません。

一方、モディ首相の経済改革が軌道に乗ってきたところに、資源安の恩恵が加わって好調なのが、インドです。IMFの予想では、2015・16年の成長率が中国を抜く見通しです。

中国も高成長が続く見通しです。過剰投資の整理が必要で、中国経済の失速が常に懸念されていますが、今年は資源安によって、大きなボーナスをもらった状態になりました。中国は、インドや日本と同様に、資源安の恩恵で当面高成長が維持できそうです。