31日の日経平均は、204円安の19,206円でした。これまでの上昇ピッチが速すぎたので、利益確定売りが優勢となりました。

日本の景気・企業業績の回復色がこれから強まると考えていますので、日本株は買い場と考えています。どういう銘柄を買っていったらいいか、いろいろなアイディアがあります。今日はまず、独占的企業に投資するアイディアについて書きます。

(1)過当競争に巻き込まれにくい企業を選択

日本の製造業は厳しい競争にさらされています。あらゆる分野に過当競争が広がっています。ハイテク製品は、その最たるところです。たとえヒット商品が出ても稼げる時間は短く、しばらくたつとライバル会社から似たような製品が大量に供給されて、供給過剰になる運命を繰り返してきました。今、人気が出始めている「4Kテレビ」など、まさに日本の技術の結晶とも言える芸術品ですが、それで日本のメーカーが稼げる時間は短いかもしれません。

さて、そのような日本でも比較的、競争が少ない分野があります。何でしょう?生活にかかせない公共サービスはまずその代表です。初期投資が莫大にかかる、認可がないと営業できないなど参入障壁が高く、独占的地位を維持しやすくなっています。

日本には独占禁止法がありますので、完全な独占企業は存在しませんが、「2~3社で高収益市場を支配(寡占)」「地域独占」など、独占的地位を維持している企業はあります。そうした企業は、長期投資対象として有望と考えています。

(2)独占的企業の参考銘柄

 
コード 銘柄名 31日株価 配当利回り PER:倍 PBR:倍
2914 日本たばこ産業 3,800.5 2.8% 17.5 2.7
4825 ウェザーニューズ 3,520.0 1.7% 18.2 3.5
9020 東日本旅客鉄道 9,640.0 1.2% 18.9 1.7
9432 日本電信電話 7,397.0 2.4% 14.8 0.9
9433 KDDI 2,720.5 2.0% 16.0 2.4
9437 NTTドコモ 2,085.5 3.1% 19.2 1.5
9984 ソフトバンク 6,980.0 0.6% 12.7 3.2

(楽天証券経済研究所が作成)

日本たばこ産業(2914)は、高収益で競争の少ない事業をやっていることで注目できます。タバコは認可事業で、独占的に事業を行えます。国内での喫煙者減少は痛手ですが、値上げを続けることで収益力を維持しています。独占事業者が値上げをすると社会的に批判されることが多いが、タバコは値上げしても大きな批判を受けにくいことが強みです。日本たばこ産業(2914)は、競争が激しくなった飲料事業から3月末に撤退しました。また、余剰能力が生じた国内タバコ工場では早期退職を募集しています。高収益でも経営改革の手を緩めないところが、投資家から見ての魅力となっています。

ウェザーニューズ(4825)は、人口衛星を使って気象情報を提供する会社です。気象庁の仕事を代替しているだけでなく、海運業者・イベント事業者など、ビジネス向けの気象情報サービスが成長しつつあることが注目できます。ゲリラ豪雨など異常気象が続くなか、ピンポイントで精度の高い気象情報を必要とするビジネスは多くなっています。参入障壁が高い分野で、安定的に成長が見込まれると考えています。

東日本旅客鉄道(9020)は、鉄道会社として高い競争力を持つことに加え、実質、国内最強の不動産会社だと思っています。日本の都市はJR駅を中心に発達し、不動産価格はJR駅周辺がいちばん高くなっている場合が多くなっています。JR品川駅周辺など、都心部に再開発によって価値を高められる不動産を沢山所有していることが強みです。

)は、高収益の携帯電話市場を実質3社で寡占しています。3社で激しく競争しているように見えますが、ハイテク産業の競争と比較したら、きわめて緩い競争です。格安スマホ会社の参入増加が脅威とはなっていますが、それでも、安定的な収益基盤がすぐに崩される事態にはならないと考えています。ソフトバンク(9984)・NTTドコモ(9437)・KDDI(9433)ケータイ大手3社(