先週の日経平均は、1週間で305円上昇して、19,560円まで上昇しました。日本株の保有が少なく、日本株を「持たざるリスク」を感じた外国人機関投資家による買いが続いている模様です。

今週も、外国人投資家の買いによって、日経平均は堅調に推移すると見ています。

(1)景気回復を織り込みつつ上昇する日本株

日経平均週足:2013年1月~2015年3月20日

2013年に回復を始めた日本の景気は、2014年に失速、短期景気後退におちいりました。ただし、2015年にかけて再び景気回復色が強まりつつあります。これを反映し、2013年~2014年前半にかけて横這いで推移していた日経平均は、再び上昇トレンドに入りつつあります。

(2)外国人投資家が日本株を買う理由

  • 「資源急落でメリットを受ける国」であることを評価
    グローバル運用を行う海外ファンドは、資源急落でメリットを受ける国(日本・アメリカ・中国・インド株など)の保有を増やし、資源急落でマイナスの影響を受ける国(ブラジル・ロシア・カナダ・オーストラシア株など)の保有を減らす、ポートフォリオのリバランス(調整)を行っていると考えられます。資源安メリット国としての「日本株」には買いが入ってきています。
  • ROE(自己資本利益率)重視経営の広がりや株主還元の強化を評価
    株主還元にあまり積極的でないと見られてきた日本企業に、ROE重視経営、増配・自社株買いが増えてきたことが評価されています。増配・自社株買いや株主との対話に消極的だったファナック(6954)が、株主還元やIRに積極姿勢を見せ始めたことが、象徴的出来事と捉えられました。
  • 賃上げ機運が高まるなど、日本に景気回復の兆しが広がりつつあることを評価
    連合がまとめた春闘(春季労使交渉)の第1回集計では、定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は2.43%となり、2001年以降で最も高い伸びとなりました。今年は、消費税の引き上げがないので、実質賃金がプラスとなりそうです。さらに、ガソリン価格急落の恩恵、株高効果もあり、今年は日本の消費も持ち直しそうです。
  • 対ドルで円安が進みにくくなってきたことを評価
    原油急落で世界的な低インフレ・低金利化の流れに拍車がかかる中、ドル高(円安)が進みにくくなってきました。原油急落で、日本の貿易赤字が急減していることも、心理的に円安を進みにくくしています。

2015年に入ってから円安が進まない中で日経平均が上昇するようになり、外国人(ドル資産の運用者)が重視するドル建て日経平均の上昇率が高くなってきたことが、日本株への外国人の投資意欲を高めています。

ドル建て日経平均の動き:2013年1月~2015年3月20日

2014年後半は、日経平均が上昇しても、円安が進むため、ドル建て日経平均は上昇しませんでした。ところが、2015年に入り、円安が進まない中で日経平均が上昇するようになったため、ドル建て日経平均の上昇率が高くなっています。