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競争力が低下しつつある日本の太陽電池
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

競争力が低下しつつある日本の太陽電池

2015/3/4
シャープ(6753)株が3日、9円(3.5%)安の245円と急落しました。日本経済新聞朝刊で「シャープは主力取引先のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に資本支援を要請する方針を固めた」と報道があったことが、株が売られるきっかけとなりました。同報道によると、シャープは「国内の電子部品4工場の閉鎖や太陽電池事業の撤退を検討する」となっています。事実だとするとかつて世界一になったこともある日本の太陽電池産業の凋落を示す残念な結果です。
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シャープ(6753)株が3日、9円(3.5%)安の245円と急落しました。日本経済新聞朝刊で「シャープは主力取引先のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に資本支援を要請する方針を固めた」と報道があったことが、株が売られるきっかけとなりました。同報道によると、シャープは「国内の電子部品4工場の閉鎖や太陽電池事業の撤退を検討する」となっています。事実だとするとかつて世界一になったこともある日本の太陽電池産業の凋落を示す残念な結果です。

(注)シャープは、日本経済新聞の3日の報道に対して、以下のコメントを発表しています。「本日の日本経済新聞において、当社の資本増強、業績及び事業構造改革などに関する報道がありましたが、これは当社が発表したものではありません。当社では抜本的構造改革を踏まえた様々な検討を行っておりますが、決定した事実はありません。」

(1)太陽光パネル生産は中国メーカーが中心に

先週、東京ビッグサイトで開催された国際二次電池・太陽電池展に行ってきました。技術革新が想定以上に速く、驚きました。二次電池では日本の牙城が崩れていないと感じましたが、太陽電池パネルは完全に中国メーカー主導になっています。東京ビックサイト内の目立つ場所は元気な中国メーカーで埋まり、活発に商談が行われている印象でした。一方、シャープの展示ブースは、私が通りかかった時は閑散としていました。

日本の太陽電池はFIT(固定価格買い取り制度)導入効果で2014年は設置が急増しました。国際的に見て高過ぎる固定価格での全量買い取りを10年~20年にわたり保証したので、さまざまな業界からメガソーラー(大規模の太陽発電事業)への参入が相次ぎました。あまりに有利な条件での買い取り制度だったので、とりあえず認可だけとり、いつまでも事業を開始しない業者もたくさん現れました。高い買い取り価格を確保した上で、太陽電池システム価格が下がるのを待っている業者もあると言われています。

ところが、こうした状況に、買い取り義務を負う電力会社が異議を唱えました。発電量が安定しない太陽光発電を大量に導入すると、電力系統の周波数が不安定になるという理由で、九州電力などが一時、新規メガソーラーの系統への接続を停止する事態に至りました。

(2)FIT見直しで国内の導入熱にブレーキかかるのは必至

経済産業省はメガソーラーにあまりに有利な条件を見直す必要があると判断し、今年の1月以降、FIT制度の大幅な見直しを始めています。主な見直し項目は以下の通りです。

  • 今後、新規に接続申請する発電業者への固定買い取り価格は順次引き下げる。
  • 発電が集中して周波数に悪影響を及ぼす可能性が生じた時間帯に、出力制御を要請できる発電事業者の範囲を広げる。
  • 発電業者に遠隔出力制御システムの導入を義務付ける(電力会社から要請があった場合の出力制御に対応するため)。
  • 太陽光が過剰な利益を生まないよう価格決定時期を「接続申し込み時」から「接続契約時」に見直す。
  • 出力増加や仕様変更があった場合にも、原則として買い取り価格を変更する。
  • 接続枠を確保したまま長期に事業に至らない事業者の、接続枠を解除する。

こうした制度変更を受けて、今後、日本ではソーラー発電の導入熱は冷める可能性があります。シャープ(6753)や京セラ(6971)など日本の太陽光パネルメーカーは、中国勢のシェア拡大と、国内での導入熱低下の2つの逆風を受けることになります。

ただ、既に認可を取った業者が、事業開始を急ぐことになるので、太陽光発電システムの設置工事は、これから活発になるでしょう。そこで使われる太陽光パネルについて、家庭用では国産品が好まれますが、産業用(メガソーラーなど)では価格が一段と下がった中国製がシェアを伸ばすのは必須です。太陽電池展で、中国メーカーのブースが商談で盛り上がっていたのは頷けます。

(3)太陽光発電は、世界的には拡大が続く見込み

太陽光発電の導入は、日本では目先ブレーキがかかりそうですが、世界的には拡大が続く見込みです。ここ数年で太陽光発電システム価格が大幅に低下したおかげで、太陽光の発電コストがグリッド・パリティに近づいてきたからです。

(注)グリッド・パリティとは

再生エネルギー(太陽光・風力など)の発電コストが、既存の電力と等価になる点。日本のNEDOは、家庭用電力並み(日本ではキロワット当たり23円)を第一段階のグリッド・パリティとしている。ただ、それでは発電業者に利益が出ないので、将来的には業務用電力(キロワット当たり14円)以下へのコスト低減が必要としている。

グリッド・パリティが達成されれば、補助金なしで太陽光発電が一気に普及する可能性があります。これまでドイツや中国、日本などで、太陽光発電は、補助金導入で急増→補助金減額で急減を繰り返してきました。

補助金なしでソーラー発電の普及が進むグリッド・パリティ達成は、重要課題です。中国メーカーがパネル価格を大きく引き下げた効果で、世界ではグリッド・パリティの達成が視野に入ってきました。

日本は、高品質なパネルにこだわったためにコスト低下が遅れています。土地の購入や送電線の敷設が必要ない住宅用ソーラー発電では既にグリッド・パリティが達成されている模様ですが、メガソーラーのコスト低下は遅れています。

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