4日の日経平均は342円高の17,678円でした。3日ニューヨークでWTI原油先物(期近)が3.48ドル高の53.05ドル/バレルと上昇したことが好感され、三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)などエネルギー関連株が大きく上昇しました。また、日本の長期金利が急反発したことでメリットを受ける第一生命保険(8750)・T&D HLDG(8795)・三菱UFJ FG(8306)など金融株の上昇率も高くなりました。

現在、発表が続いている10-12月決算は概ね好調です。4日は、トヨタ自動車(7203)やソニー(6758)が今期業績予想を大幅に上方修正したことが注目されます。日経平均は、今しばらく17,000円台で値固めした後、再び上値トライすると予想しています。

(1)原油上昇は、世界景気にプラス

原油下落は、最終的に世界景気にプラスと判断しています。ただし、あまりに下落速度が速過ぎて、短期的に逆オイルショックが起こる懸念が高まっていました。

 

WTI原油先物(期近)の日次推移:2014年4月1日~2015年2月3日)

(出所:WTI先物価格はブルームバーグ、シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所推定)

アメリカはエネルギーコスト急低下の恩恵で、景気が好調です。大型車がよく売れるなど消費に好影響が出ています。そのアメリカでも、最近は原油急落ピッチが速すぎることによる、マイナス影響が目立ち始めていました。シェール・ガス・オイル採掘業者に破綻が増加することに加え、石油関連産業の利益の大幅な減少が懸念されていました。

私は、原油価格が1バレル60ドル辺りまで戻った方が、米景気に良い影響が及ぶと考えています。1バレル60ドルでもエネルギーコスト低下のメリットは十分大きい上に、60ドルならば採掘を続けられる採掘業者が多くなるからです。

原油急落の最大の原因は、アメリカのシェールオイル増産です。アメリカが原油の輸入を減らした影響で、世界的に原油が供給過剰となりました。ところが、そのシェール油田の大半がコスト割れになるまで原油が売り込まれたのは行き過ぎであった可能性もあります。今後、原油先物が60ドルに向かって自律反発が続けば、米景気にも安心感が広がり、NYダウの18,000ドル超えが視野に入ると考えられます。今後のWTI原油先物の動きに注目です。

(2)長期金利上昇で金融株が買われる。

日本の長期金利が急反発したことから、3日は日経平均がショック安となりましたが、4日は金利上昇でメリットを受ける生保・銀行など金融株に買いが広がりました。

長期金利上昇が、企業価値に大きくプラスとなるのが生命保険業です。終身保険の保険負債は10~20年と非常に長い期間に及びます。生命保険会社は、10~20年の長期負債を固定金利で調達しているのと同様の状態です。そこで長期国債の利回りが低下すると、将来、運用で逆ザヤが発生する懸念が強まります。

第一生命保険(8750)など生命保険株は、これまで長期金利低下による逆ザヤ発生懸念で株価が低迷していました。足元は、長期金利の急反発を好感して、株価も急上昇しています。

銀行業にとっても、長期金利上昇はプラスです。銀行は預金を集めて貸金を行い、利ザヤを稼ぐのが基本ビジネスです。長短金利スプレッドが小さくなりすぎると、預貸金利ざやを取りにくくなるという問題がありました。長期金利が自律反発したことは、生保・銀行業の経営にプラスの影響を及ぼします。

(出所:ブルームバーグ)

日本の長期金利推移:2014年10月1日~2015年2月4日