今週の日経平均は、引き続き上値が重そうです。
- 原油価格が下げ止まったかまだわかりません→逆オイルショックの不安が続きます
- ギリシャ総選挙が1月25日に控えています→ギリシャがEU離脱に向かう不安が残ります
日経平均はこの水準は買い場と判断していますが、すぐ底入れして上昇に向かうのは難しそうです。
(1) 日本が休みの間の米国株の動き:NYダウも上値が重い
NYダウは9日発表の雇用統計が良好でも9日・12日とも下落しました。引き続き、原油安が嫌気されています。
- 1月9日 :17,737.37ドル(前日比▲170.50ドル)
- 1月12日:17,640.84ドル(同▲96.53ドル)
<NYダウ日足:2014年10月1日~2015年1月9日>
アメリカでも原油下落のスピードが速すぎることのネガティブな面が意識され始めています。
- これから発表が始まる米企業の10-12月期決算で、増益率が前年比一桁台に落ち込みそうです。エネルギー関連企業が大幅減益になることが響きます。
- シェ-ルオイル採掘業者に破綻が出てきています。掘削業者向け融資が一部不良債権化しつつあります。
原油下落は、長期的には米景気および企業業績にプラス効果を及ぼしますが、短期的には、下落スピードが速すぎるために、マイナス影響が顕在化します。NYダウも、目先は上値が重そうです。
(2)12月のアメリカの雇用統計は良好
雇用統計は、文句なく良好な内容でした。
(非農業部門雇用者増加数:2013年1月~2014年12月)
アメリカの景気動向を如実に現すものとして注目が高い、非農業部門雇用者数は、25万2千人増でした。景気好調を示す20万人増を11ヶ月連続で上回っており、強い数字です。
(完全失業率:2013年1月~2014年12月)
12月は前月比0.2%ポイント低下の、5.6%でした。雇用情勢の改善が継続していることが確認できました。
(3)原油急落で出てきた金融市場のプラス材料
原油急落を受けて、世界的にインフレ率がさらに低下しそうです。これを受けて、金融緩和が続く期待が高まりました。
- アメリカ:早期利上げ懸念がやや低下
- ヨーロッパ:ECB(欧州中央銀行)が1月22日にも追加金融緩和に踏み切る公算大
- 中国:追加金融緩和が行われる期待
- 日本:物価上昇目標が未達になるのが明らか。追加緩和を予想する声も。
(日米独の長期金利推移:2007年1月~2015月1月9日)
(4)鍵を握るのが、企業業績
最終的には、日本株の方向は、企業業績によって決まります。とりあえず、今期(2015年3月期)企業業績(会社予想)が、これから始まる10-12月決算発表時にどの程度、上方修正されるかが注目されます。ただし、日本でも石油精製業など原油下落のダメージを受ける企業は業績下方修正が見込まれます。
<全産業(除く金融)ベース経常利益の増益率>
2014年3月期 | 実績 | +36% |
---|---|---|
2015年3月期 | 会社予想 | +3% |
市場予想 | +8~10% | |
楽天証券予想 | +9% | |
2016年3月期 | 楽天証券予想 | +11% |
(注)東証一部上場の3月期決算企業について集計。2015年3月期は経常利益の会社予想が公表されている772社を集計。市場予想は、アイフィスコンセンサス予想など。市場予想・楽天証券予想は2015年1月12日時点。