今日(25日)は、12月決算銘柄を、配当受取権つきで投資できる最終日です。今日買うと、受渡日(株主名簿に登載される日)は大納会(12月30日)になります。12月中に、株主名簿に掲載されるので、12月決算銘柄の配当金を受け取れます。明日(12月26日)買っても受渡日は来年1月5日となるので、12月決算の配当金は受け取れません。

(1)今日買うと12月決算の配当金を受け取る権利が確定する銘柄

以下に、参考として7銘柄を挙げます。ただ、これらへの投資を検討する際に気をつけなければならないことが、たくさんあります。本レポートで説明します。

 

12月決算の好配当利回り株リスト

コード 銘柄名 株価 配当利回り 1株当たり年間配当金 中間配当金 期末配当金
2914 日本たばこ産業 3,400.0 3.9%(注1) 100 50 50
9757 船井総研HLDG 1,000 3.2% 32 15 17
6858 小野測器 1,008 3.0%(注2) 25 5 20
4746 東計電算 1,819 2.9% 53 0 53
4704 トレンドマイクロ 3,645 2.8% 101 0 101
4722 フューチャーアーキテクト 679 2.5% 17 8 9
5101 横浜ゴム 1,175 2.2% 26 12 14

(注1)日本たばこ産業は決算期変更にともない今期は9ヶ月(2014年4月―12月)の変則決算。この表の配当利回りは9ヶ月間の利回り(2.9%)を年率に換算したもの。

(注2)小野測器は、2014年7月に1株→2株の株式分割を行っている。中間配当金は分割前の株に対して支払われたものである。この表の配当利回りは、中間配当金を分割を考慮して修正して計算したもの。

(注3)1株当たり年間配当金および期末配当金は、会社予想を使用。ただし、配当金予想を公表していないトレンドマイクロの期末配当金は、楽天証券経済研究所予想。

(出所)各社決算短信等から楽天証券経済研究所が作成

(2)12月末に今期の配当金すべてを受け取る権利が確定するわけではありません

多くの企業に、中間配当制度があります。年間配当金を年2回に分けて支払うわけです。その場合、期末に受け取れるのは、年間配当金から、中間配当金を差し引いた金額だけです。上の表で、黒字で記載してある銘柄は、中間配当金を支払っています。

たとえば、船井総研HLDG(9757)の公表している年間の1株当たり配当金予想は、32円です。ところが、中間決算期末(6月)の株主に既に中間配当金15円を支払っています。したがって、12月末に確定する予定の配当金は17円だけです。配当利回りは、年間配当金32円を株価1,000円で割って計算します。12月末に確定する配当金だけで計算すると、約半分(1.7%)となります。

(3)中間配当金を支払わない企業は、期末に年間配当金がすべて支払われます

上の表で、赤背景になっている東計電算(4746)とトレンドマイクロ(4704)がそれに該当します。東計電算(4746)は、会社が公表している年間配当金予想額が53円です。中間配当金は支払っていませんので、53円を受け取る権利が12月末に確定する予定です。予想配当利回りで2.9%の受け取り権が、確定する予定です。

(4)中間配当のない会社を買えば得、とは限らない

今日投資して、すぐに年間配当金をすべて受け取る権利が確定するならば「お得」と感じるかもしれません。現実には、必ずしもそうではありません。

配当利回りが高い銘柄ほど、配当受取権が確定する日が近づくにつれて配当取り買いが入って株価が上昇し、配当落ち日(配当を受け取る権利がなくなる日、12月26日)に、株価が下落する傾向があるからです。株価が、配当取りと推定される買いで11―12月に大きく上昇している場合は、買いを避けたほうが無難かもしれません。

東計電算(4746)は、11-12月に配当取り狙いと推定される買いで株価が上昇しています。これはあくまでも、私の経験則に基づく判断ですが、今日すぐに買うのは得策でないと思います。

 

東計電算の週別株価推移:10月1日~12月24日

一方、トレンドマイクロ(4704)は、会社が配当金の予想額を公表していないことも影響して、11-12月に株価が大きく上がっているとはいえないと思います。今日すぐに投資するならば、私はトレンドマイクロ(4704)の方がいいと思います。

(5)減配リスクの低い銘柄を選別することが大切

配当利回りは、確定利回りではありません。減配があると利回りが低下します。株価が下がることもあります。好配当利回り銘柄に長期投資する際は、なるべく減配リスクの低いものを選ぶことが大切です。

本日参考として掲載した7銘柄は、減配リスクが比較的低いと、私が判断した銘柄です。減配リスクが低いものを選ぶために、以下の基準を使って選別しました。

  • 予想配当利回り2%以上
  • 連結配当性向が65%以下

    利益のすべてを配当金にまわすと配当性向は100%になります。配当性向が高すぎる銘柄は、利益が減るとすぐに減配になる傾向があります。したがって、配当性向が65%以下の銘柄に絞っています。

  • 経常利益率が9%以上

    利益基盤がしっかりした会社を選んだ方が良いので、経常利益率9%以上としています。

  • 自己資本比率(2014年9月末時点)40%以上

    自己資本比率が低く、借金が多い会社は、減配リスクが高くなります。したがって、自己資本比率40%以上を条件としています。

(出所)各社決算短信等から楽天証券経済研究所が作成

(注)連結配当性向・経常利益率は、2014年12月期の会社予想から計算。日本たばこ産業は、連結税前利益を経常利益とみなして計算。

コード 銘柄名 予想配当利回り 連結配当性向 経常利益率 自己資本比率
2914 日本たばこ産業 3.9% 48.5% 23.5% 56.8%
9757 船井総研HLDG 3.2% 51.6% 23.8% 80.4%
6858 小野測器 3.0% 38.6% 11.2% 76.0%
4746 東計電算 2.9% 35.1% 19.0% 83.6%
4704 トレンドマイクロ 2.8% 65.0% 28.6% 52.8%
4722 フューチャーアーキテクト 2.5% 33.3% 12.1% 68.9%
5101 横浜ゴム 2.2% 20.0% 9.4% 43.4%

12月決算好配当利回り株の配当・財務データ