先週の日経平均は549円安の17,371円で、1週間で▲3.1%でした。原油急落が世界経済に与えるマイナス影響に焦点があたった1週間でした。NYダウは、原油急落で業績が悪化する石油関連株を中心に下がって▲3.8%でした。原油への依存度の高いロシア株(RTS指数)は▲12.1%、ドバイ総合株価指数は▲13.8%と、下落率が大きくなりました。

今週は、衆院選挙で自民党が事前予想通りに大勝したことは外国人が日本株を買う材料となりますが、NYダウの下げが続いていることは売り材料となります。CME日経平均先物(円建て)は先週末(12日)に17,155円まで下がっています。週初、下げて始まれば、日本株の買いの好機となると予想しています。

(1)原油が下げ止まらず

NY原油先物WTI期近:2014年4月1日~12月12日

(出所:ブルームバーグ)

  • 米国でシェールオイル増産が続いていること、
  • OPECが原油減産で合意できなかったこと、
  • 世界景気の停滞によって世界的に原油需要の伸びが鈍くなっていること、

などを背景に、原油価格の下げが加速しています。

(2)石油関連株を中心に、NYダウが下落

NYダウ週足:2013年1月14日~2014年12月12日

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

シェールガス・オイル増産によるエネルギー価格低下の恩恵を受けて、米景気は好調です。原油価格下落は、巨大なエネルギー消費国のアメリカ経済にとって、トータルでみてプラスです。ただし、エクソンモービルなど、石油関連企業にとってはダメージとなります。先週は、原油価格急落でダメージを受ける石油関連株の下げにより、NYダウは急落しました。

NYダウは、好調な米経済を背景に、2013・14年は、安定的に上昇基調が続いています。何回か、上昇局面の中でスピード調整していますが、それは①米金融緩和終了への不安、②世界景気減速懸念などが背景になってきました。

今回、原油価格急落によるマイナス面に焦点が当たって、NYダウが下げてきていますが、いずれ米景気好調を再確認できれば、再び、上昇トレンドに戻ると考えています。ただし、短期的にはまだ下げ止まり感がなく、警戒が必要です。

(3)先週の日経平均は、原油急落を嫌気した世界的な株安の中で、売られる

日本は、原油急落の恩恵をもっとも大きく受ける国です。2011年の東日本大震災後に緊急輸入した世界一割高なLNGの輸入が今も続いており、世界一割高なエネルギー価格に苦しんできたからです。

ただし、原油急落の恩恵はすぐには出ません。恩恵が表れるのは半年~1年後となります。①原油スポット価格が下がっても、長期契約の輸入価格はすぐには下がらないこと、②原油価格が高かった時に輸入した在庫(戦略的備蓄)が国内に残っていること、が原因です。

先週の日経平均は、NYダウなどの下げを嫌気して、急落しました。

日経平均週足:2013年1月1日~2014年12月12日

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

日経平均は、2013年にアベノミクス開始で急騰した後、1年間ボックス相場でしたが、足元再び上昇基調に入ってきています。私は、上昇トレンドは崩れないと判断しています。

(4)日本株は買い場との見方は、変わらず

私は、2015年は日本の景気・企業業績が回復に向かうと判断しています。

  • アメリカの景気が好調なこと
  • 円安が一段と進み、日本の景気・企業業績拡大の期待が高まったこと
  • 原油下落で日本は恩恵を受けること
  • 衆院解散総選挙で与党が大勝したこと
  • 日本・中国・欧州が金融緩和に動いていること

などが、日本の景気に追い風と考えています。