8日の日経平均は、15円高の17,935円でした。1ドル121円台まで進んだ円安や原油安などを好感し、一時18,030円まで上昇しました。ところが、内閣府が発表した7-9月のGDP改定値がネガティブ(前期比年率▲1.9%に下方修正)だったために買いが続かず、18,000円台を維持できませんでした。

最近、中国株の急騰が話題になっていますが、上海総合株価指数は8日も+2.8%上昇し、連日で年初来高値を更新しました。今日は、中国株が急騰している意味と、日本株に与える影響について考えます。

(1) 中国株は11月21日に中国人民銀行が利下げしてから急騰

上海総合株価指数:2013年1月~2014年12月8日

(出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

(2)中国株の急騰は中国景気回復の予兆?

中国景気について、足元いい話はあまり聞かれません。HSBCが発表している11月のPMI(製造業購買担当者景気指数)は50.0と景気悪化と回復の分岐点まで低下しています。また、住宅価格が下がり始めており、景況に悪影響を及ぼすことが心配されています。

そんな時、なぜ、中国株が急騰するのでしょうか?実は、足元の中国株急騰の要因は、日経平均の急騰要因と似ています。

日経平均は、10月31日に日銀がサプライズ(驚き)となる追加緩和を実施してから急騰しました。国内景気は足元まだ弱いですが、追加緩和によって大幅な円安が進んだ効果で先行き回復に向かう期待が出ています。円安効果だけでなく、米景気好調・原油急落も日本の景気に追い風です。

中国株の急騰もこれと似た構造です。11月21日に中国人民銀行(中央銀行)がサプライズとなる2年4ヶ月ぶりの利下げ(銀行の貸し出しおよび預金の基準金利引き下げ)を実施してから急騰しました。人民銀行は利下げ以降、緩和的スタンスを明確にしており、年内にさらに追加緩和(預金準備率の引き下げ)を実施するとの期待も出ています。これは、日銀が緩和スタンスを強めているのと似ています。

中国景気は足元低調ですが、金融緩和は景気を下支えする効果があります。また、米景気好調や原油急落が景気に追い風なのは、中国にとっても日本にとっても同じです。中国景気が今後持ち直すと考えることも可能かもしれません。

(3)中国景気が急に良くなることはないが、2015年も6%台後半の高成長は維持できそう

中国経済は、過剰投資の整理途上にあり、ここから成長が加速すると考えるには無理があります。成長率は、年々低下し、2015年は7%成長が維持できなくなる可能性が高いと考えられます。

ただし、中国の消費は高い成長が続いています。ここに金融緩和や米景気好調、資源価格下落の追い風が加われば、2015年も中国景気は6%台後半の高い成長率を維持できるでしょう。日本では「中国バブルが今にも崩壊する」という論調が多いですが、中国が2015年も6.5~7%の高成長を維持できれば、日本および世界経済にとってプラスと考えられます。

(4)日本株投資へのインプリケーション(応用)

中国関連株と言われる銘柄群(鉄鋼・海運・大手総合商社など)は、利益が改善していても中国経済に対する不安から株価が安く放置されているものが多くなっています。中国経済への不安が低下すれば、そうした銘柄群の見直しにつながる可能性があります。