10月は、外国人投資家が売った日本株を、個人投資家と公的年金が買っていったことが、需給動向からわかります。

(1)円高で株安、円安で株高の連動性は崩れず

10月前半は、世界的にリスク資産のパニック売りが広がる中、円が買われ、日経平均が売られました。10月後半は、パニックが徐々に収束する中で、世界的にリスク資産が買い戻されました。円が売られ、日経平均が買い戻されました。

10月の為替と株の動き 上段はドル円為替レート 下段は日経平均

(2)外国人投資家が売る中で、個人投資家と信託銀行が買い

10月の日経平均の動きと、主体別売買動向

(単位:日経平均は円、売買金額は億円)

売買主体 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週
外国人 ▲1,947 ▲3,370 ▲4,076 257 NA
個人 3,542 2,931 3,875 ▲692 NA
信託銀行 714 1,265 1,894 1,580 NA

(出所)東京証券取引所 投資主体別売買動向(売買差額)二市場1・2部/総合証券60社、▲は売越、第1週は9月29日~10月3日、第5週(10月27日~31日)の売買動向は11月7日に発表予定

10月は、外国人投資家が日本株を投げ売りする中、個人投資家が積極的に買っていったことわかります。ただし、日経平均が急反発した後の第4週は、外国人が小幅買い越しになる中で、個人は売り越しています。
外国人が売ると個人が買い、外国人が買うと個人が売るという過去20年以上続いている傾向は、10月もそのまま続いています。

信託銀行が一貫して買い越していますが、これは公的年金の買いであると推定されます。公的年金は運用改革で、株の組み入れを増やすことが検討されていますが、前倒しで買いに動いているものと考えられます。

(3)11月の日経平均は、徐々に下値を切り上げる展開を予想

7-9月の日本の景気は想定外の停滞が続きましたが、10-12月には徐々に回復傾向が見えてくると考えています。現在、発表が続いている9月中間決算で、2015年3月期の業績見通しを引き上げる企業が増えていることも追い風となります。

欧州や中国の景気が悪化しつつあることが懸念されますが、米国の景気が好調であることが、日本経済にプラスに働きます。